ツキノワグマ


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ツキノワグマ

ツキノワグマとは?

ツキノワグマ(月輪熊)は、ネコ目クマ科クマ属に属する哺乳類です。日本では北海道にヒグマだけが、そして本州、四国にこのツキノワグマだけが生息しています。完全に生息域が分離されているので、遭遇してどちらの種か迷うことはないでしょう。

昔は九州でも生息が確認されていたんですが、近年は確かな目撃情報が確認できず、残念ながら2012年に九州のツキノワグマは絶滅と認定されてしまいました(2015年10月に福岡と佐賀の県境でクマらしき目撃情報があって、現在調査中です)。西日本でもその個体数は激減していると言われています。

月輪熊

 

ツキノワグマの身体的特徴

ツキノワグマは体長は100~180cm程度、体重は50kg~から150kg程度です。クマの種類の中ではツキノワグマは比較的小さい種類だと言えるでしょう。体格もヒグマなんかに比べると幾分スタイリッシュな個体が多いです。特に若い個体はそれが顕著で、私達が持っていたクマとのイメージの違いに少し驚くかもしれません。

なんといってもツキノワグマのその最大の特徴は胸についている三日月形の模様です。どうしてこんな模様が付いているのかは理由は確かではありませんが、ツキノワグマだと識別するには一番の特徴だと言えるでしょう。たまにこの三日月の模様がない個体なんかも現れるようですが、その場合は体毛の色で識別。ツキノワグマはクマの仲間の中でも珍しく、体毛が完全に真っ黒な色をしています。

ツキノワグマの身体的特徴

 

ツキノワグマの食性

クマというと川でシャケを取っているイメージが強いですが、それはヒグマの話。じゃあシカやウサギなどの野生の哺乳類を襲って肉を食べているのかと言われればそうでもありません。

実はツキノワグマのメインの食事は植物。ドングリ、ブナ、クリ、ヤマブドウなどを主な栄養源として摂取しています。あとは蛋白源としてアリやハチの巣を探して、巣をほじくりながらそれを食べたりします。大きな体をしていますが、意外にも食べ物はカワイイもので(笑)

あとは動物の死骸なんかも好んで食べます。「クマに会ったら死んだふりだ!」なんてよく言いますが、死肉を食べるクマの前では、死んだふりがいかに愚かなことかがわかりますね。私はごちそうです、と言って自分を差し出しているようなモンです(笑)

そして問題なのは人間の出すゴミも食べること。ツキノワグマは雑食性が高いので、人間が食べ残したものは何だって食べちゃいます。そのためわざわざ人里に下りてきてゴミ集積場を漁ったりなんてこともしばしば。近年ではそれが大きな問題になっていて、ニュースなんかでもよく取り上げられています。

ツキノワグマの食性

 

ツキノワグマの生息地

前述したとおり、日本のツキノワグマの分布は本州と四国です。ヒグマと違って平地や草原などは好まず、落葉広葉樹林が生い茂った山の中だけに住んでいます。昼間は樹木の穴や、洞窟の中などでじっとしていることが多く、朝夕や夜に積極的に行動して餌を探しに動くことがわかっています。

ツキノワグマはあまり縄張り意識を持っておらず、餌が豊富な場所を求めて広範囲に移動を続けます。そのため餌が豊富な場所ではたくさんの個体が集まっていたりすることも。また、この行動力の高さがために人里までやってきてしまい、人間と遭遇して双方にとって不幸な事故が引き起こされてしまうケースもあります。

ツキノワグマ

 

冬ごもりと繁殖

ツキノワグマは知っての通り、冬になると穴にこもって眠るように過ごします。よく冬眠なんて言い方をしますが、クマの場合は仮死状態になるというよりはじっとしているだけなので、どちらかというと「冬ごもり」という言葉のほうが正しいと言えるでしょう。

冬ごもりの期間はその地域の気候にもよりますが、だいたい12月から4月ぐらいまでの間。半年近く穴の中で眠っていると考えると、彼らは意外にのんびりした人生を送ってるのかもしれませんね(笑) ああ、なんてうらやましいスローライフ。

夏のうちに交尾を済ませて妊娠したメスはこの冬ごもり期間中に穴の中で出産します。一度に生まれる子供はだいたい2匹程度。母親グマは3ヶ月程度授乳したあと、2年ほど一緒に子供と行動し、その後子供は自立していきます。

ツキノワグマのリスク回避と対策

 

ツキノワグマのリスク回避(ヒグマとほぼ共通)

やっと本題です。ツキノワグマは基本的に臆病な生き物ですし、決して好戦的ではないです。ですが、人間にとって安全な生き物ではないというのは間違いありません。

まずは何より出会わない努力をしましょう。

人間もツキノワグマと遭遇したくないですが、それは向こうもそうです。できればツキノワグマのほうも人間と遭遇したくないと思っています。まずは不必要にクマが出没するような場所に立ち入らないことです。
登山、ピクニック、山菜取りなど、山に立ち入る理由はいろいろあるとは思いますが、過去に熊騒動があったような場所はやはり避けるべきです。特に雪が残るような春先の山は、冬ごもりの穴に気付かずに近寄ってしまうケースがあって最悪です。

どうしてもクマと遭遇する可能性のある場所に入らなければいけないときには、大人数で騒ぎながら行動する、鈴や笛などの音が出るものを身に着けるなどをして、遠くのクマにこちらの存在をわからせるようにしましょう。定期的に棒で木を叩きながら進むのも良い手です。そうすればクマのほうから距離をとって離れていきます。

ちなみにラジオは駄目です。雑音を垂れ流しっぱなしのものは逆にクマの気配に気付けなくなるためかえって危険です。こちらがいつでも音を出せて、逆にいつでも静まってまわりを伺えるということが、
遭遇リスクを下げることに繋がります。

ツキノワグマ

 
それでも万一遭遇してしまった場合、まずは落ち着くことです。

はっきりいって遭遇してしまったら100%の安全策というものは存在しません。しかし慌ててパニックになってもツキノワグマを刺激してしまい状況を悪化させるだけです。まずは落ち着いて冷静に状況をみて、できることをしましょう。

距離がまだ何十メートルも離れている場合は、ツキノワグマから視線を逸らさずに後ずさりして距離をとります。クマは背を向けて逃げる獲物を追いかける習性があります。この習性はとてつもなく強く、うかつに背を向けて逃げたりすればほぼ間違いなく追いかけられます。ちなみにツキノワグマの走る速度は50km/h以上で、あのウサイン・ボルトより速いです。間違いなく追いつかれて、間違いなく背中から襲われて重傷必至です。

ゆっくりと後ずさりしつつ、武器の準備もしなければいけません。クマ対策の唐辛子スプレーなどを持っているなら手元にその準備を、ないならば何か固くてリーチのある、武器になりそうなものを用意します。どうしても何も見つからなければしかたありません、そのへんの石でもないよりはマシです。

ただしこのとき威嚇的なことは一切しないように。あくまで距離をとって逃げ切るのが最良手で、武器の用意はあくまで最悪の展開への備えです。

それでもまだクマの方からこちらに近寄ってくるようなら、持っている食べ物やリュック等を手放します。
クマがこれらに興味を持った場合はそのまま難を逃れることができるケースがあるのでそっと地面に置いて遠ざかるようにしましょう。

ツキノワグマ

 
うまく逃げ切れたときはいいのですが、相手がこちらに積極的に近づいてきてしまったり、もしくは曲がり角でいきなりバッタリ出会ってしまったりして、数メートルしか距離がない場合。この事態になってしまったら、覚悟を決めて戦いましょう。

そんなバカなと思うかもしれませんが、この状況になった場合に一番生存率が高いのが「戦うこと」です。この状況から走って逃げ切るのは100%不可能ですし、死肉を食べるツキノワグマに対して死んだふりをするのは何の対策にもなりません。この状況から無事に生還した人のほとんどは戦っています。

戦い方ですが、もちろん身体能力では人間はクマに絶対に勝てません。どんなにパンチやキックを浴びせようが、棒で殴ろうが、クマの分厚い筋肉の前には無力です。クマとの戦いで狙うのは「倒すこと」でなく、「戦意喪失させて逃げてもらうこと」になります。

なので狙いは急所の鼻先一点。鼻先に何か強烈な一撃をお見舞いできれば、ツキノワグマは未知の痛みに驚き退散していくことでしょう。クマと対峙するのは相当な恐怖ですが、勇気を振り絞って攻撃してください。覚悟を決めて手を出さなければこちらの生存確率が低くなるだけです。撃退スプレー、ナタ、杖の類を持っていれば相手の前足の攻撃より先にこちらの攻撃を叩き込めるはずです。

どうしてもそういったリーチのある武器が見つからない場合は、落ちている石を持ったり、腕時計を拳につけたり、カギを刃が拳から出るように握り込んだりして、それで鼻先を狙います。より接近を許すことになるので怪我をする危険が高くなりますが、多少怪我をしてでもとにかく鼻先に攻撃を叩き込めれば命を落とすことはなくなります。

ツキノワグマ

 
そして究極に最悪の事態、突然の奇襲を受けてしまった場合です。さきほどの武器による攻撃が失敗してしまったときも同様です。

覆いかぶされたり噛み付かれたりしてしまいますが、とにかく抵抗してください。じっとガードしていても殺されるのを待つのみです。とにかく手や足を、ツキノワグマの目や鼻があるであろう位置に全力で出し続けてください。一発でも入れば相手はビックリして逃げていく可能性があります。この状況になっている時点で怪我を負うのは必至ですが、追い払える可能性だけは放棄しないこと。

 

ツキノワグマの習性豆知識

ツキノワグマの習性を知識として知っておくと不用意に襲われる事態を避けることができます。ここではいくつかその習性を紹介しておきます。

 

1.子供のツキノワグマを守る母熊は危険

これはツキノワグマに限らず大抵の哺乳類に言えることです。母グマは自分の子を守るために、近寄るものを全て敵とみなします。小さいツキノワグマを見つけたときには「わぁ、可愛いー♪」なんてのん気なことを言わずに、近くに「敵意むき出しの母親がいる」と思って警戒するようにしましょう。

 

2.火を恐れない

獣は火を恐れるって知識は間違ってはいませんが、クマに関しては例外です。キャンプ時に焚き火のそばにある荷物を平気で奪っていった事例もありますので、クマ対策として火を使うのはおすすめできません。

 

3.木登りはお手の物

ツキノワグマは木登りが非常に得意です。なので木の上に登ってもツキノワグマは追いかけて登ってきます。しかしツキノワグマに遭遇したときの逃げ場所として木の上が絶対ダメってわけではありません。先に木の上に登れば、下から迫るクマをこちらは靴を履いた足で迎撃できるわけですし、クマのほうも木を登りながら同時に前足で攻撃できるほど器用ではありません。ただしどうやっても持久戦になってクマとのガマン比べになってしまうのは避けられませんが・・・。

ツキノワグマの生態

 

動物園やクマ牧場で楽しむ

ツキノワグマは全国で大抵の動物園で飼育されています。ヒグマより小型で飼育しやすく、集団生活にもすぐに適応するため動物園としても楽なんだそうで。クマ牧場のようにクマに特化して飼育されている施設もあり、そういう場所では餌を与えることもできます。人に飼いならされたツキノワグマはとても人に慣れていて、餌を持ったお客を見つけると、こちらに手を振ったり、両手を差し出して「ちょうだい」のポーズをとったりと愛嬌を振りまくほどです。野生のときとは違ったこういう姿のツキノワグマもなかなか魅力的。

あと動物園で集団で飼われているツキノワグマは社会性を持つことも知られています。必ずボスとなるツキノワグマが現れて、ケンカの仲裁をしたり、見回りをしたりするそうです。一匹狼での行動が多い野生の条件下ではほとんど確認できていない習性です。環境が変わってこういうのが見えるってなんだか面白いですね。

 
広島県安佐動物園のツキノワグマ、クラウド君の高速棒回し動画:

 

ツキノワグマ関連アイテム

熊撃退スプレー 中型 ホルスター付

熊撃退スプレー 中型 ホルスター付
クマ撃退用のスプレーです。全国の地方自治体などでも採用されている信頼のおける商品。射程距離は5メートル以内、噴射時間は連続で2.5秒程度です。遠距離で使ってクマがちょっと驚いた程度になってしまうのは怖いので、できれば3メートル以内の距離で確実に熊の顔に向けて直撃させたいところです。

熊よけ すず ベアークマ MM-1918

熊よけ すず ベアークマ MM-1918
クマ避けの鈴です。高く響く音を鳴らしながら歩くことで、早い段階でクマに人間の存在を知ってもらって不意の遭遇を避けるためのものです。滑落時や遭難時にもエネルギーを使わずに遠くまで届く音をだせるため、活用が可能です。

電子ホイッスル

電子ホイッスル
単4電池をバッテリーとした電子ホイッスル。簡単なボタン操作で、3種類の音色を3段階の音量で鳴らすことができます。本来はスポーツ用やイベント用のホイッスルですが、クマ避けとして使っている熟練の登山者も多いようです。

動物撃退器 超音波 ソーラー USB充電式

動物撃退器 超音波 ソーラー USB充電式
ツキノワグマだけでなく哺乳類全般に効果がある超音波撃退装置です。庭先に設置すると赤外線で動物の動きをキャッチ。動物が嫌がる超音波を発して対象を遠ざける効果があります。ソーラー充電式なので電源の確保の必要はなく、対象となる動物の種類に合わせて超音波の強さを設定することができます。

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