イエカ


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イエカ

イエカとは?

イエカは、ハエ目・糸角亜目・カ科・イエカ属に分類されるカ(蚊)の総称です。総称なので「イエカ」という名のカがいるわけではありません。

イエカの仲間は日本だけでも30種類ほどいます。主に有名なのは「アカイエカ」「チカイエカ」「コガタアカイエカ」あたり。それぞれ種類によって多少生違いはありますが、ほとんど同じような生態をしていると考えても支障はありません。

このページではこのアカイエカを「イエカ」として扱っていきます。以降「イエカ」という表記があれば、全てアカイエカのことを指していると思ってください。

イエカ

 

イエカの身体的特徴

イエカは、体長は5~5.5mm程度になります。ヤブカ属よりは比較的大きくなる傾向が多いです。

体色は薄い茶褐色で、若干透明がかっています。アカイエカという呼称の割にはそこまで赤い印象はありません。どちらかというと茶色。

アカイエカ

 

イエカの生活と繁殖

ヤブカは基本的に昼間に行動していますが、イエカは夜行性です。なので昼間はあまり行動せずに暗い場所でじっとして過ごしています。そして夜になると家屋などに侵入し、人間の血を狙って近寄ってくるわけです。

部屋の電気を消して寝ようとした途端にどこからか蚊が現れて、耳元をプーンという耳障りな羽音で飛ばれた経験は誰にでもあるかと思いますが、これはこのイエカによるものなのです。

イエカの活動が活発な季節は春と秋です。意外にもイエカは夏はそれほど活動的ではありません。蚊といえば夏のイメージが強いですが、それはヒトスジシマカのようなヤブカ属によるもの。イエカは暑過ぎる夏は逆に行動力が低下します。

逆に寒さに強く、イエカは成虫のままで越冬することができます。さすがに冬に飛び回ることはありませんが、軒下や木の穴の中に隠れてじっとして寒さを凌ぎ、春の到来を待ち続けます。

そして春が来るとまた繁殖のための栄養を求めて活動を開始するわけです。暖かい時期のイエカの寿命は一ヶ月程度にも関わらず、この冬眠の際だけは半年も生きるから驚きです。

交尾を済ませた成虫は水面に卵舟と呼ばれる産卵コロニーを作ります。その名前のとおりまるで船のように水面に浮いており、この中には大体100個前後の卵が含まれています。

卵は2日間ほどで孵化してボウフラになります。ボウフラは水中で植物や微生物を食べながら1週間ほど過ごし、3日間程度のさなぎの期間(オニボウフラ)を経て羽化し、成虫になります。

ボウフラと卵舟とオニボウフラ
↑イエカの卵舟(左)、幼虫ボウフラ(中)、さなぎのオニボウフラ(右)

 

イエカの吸血行動と天敵

イエカといえば吸血行動ですが、実はオスは花の蜜などを摂取して生きています。吸血行動を行っているのは、産卵のために多くの栄養が必要なメスのみ。

その吸血対象は、人間はもちろん、哺乳類全般、鳥類、そして爬虫類や両生類・魚類にまで及びます。イエカの場合は特に鳥類を好み、家畜のニワトリなどを一番の標的にしている傾向があります。動物の体温、呼吸で吐き出される二酸化炭素、分泌される代謝物の臭いなどを嗅ぎ取って近寄り、長いストローのような針を垂直に差し込んで、血を吸い上げていきます。

このとき血液の凝固を妨げる役割を果たす唾液を注入するのですが、これがイエカに刺されたときの腫れと痒みの原因になっています。

ひとしきり吸血を終えると、カは注入していた唾液を回収して飛び立って逃げていきます。このとき腹にはかなりの血液が溜まっているので、飛行能力は著しく低下しています。この状態のカを両手で叩いて潰すと血が飛び散って、ちょっとしたスプラッター状態に。

イエカにとって天敵となるのは成虫時代はクモやトンボ、小鳥など。幼虫時代はヤゴなどの水棲昆虫やフナなどの肉食性魚類です。中でもトンボはイエカの成虫を食べ、トンボの幼虫であるヤゴはイエカの幼虫であるボウフラを食べるという、イエカにとっては本当にイヤラシイ相手ですね。

イエカの血を吸った前と後、イエカの顔のアップ
↑血を吸う前の状態(右)、血を吸った後の状態(中)、イエカの顔のアップ(右)

 

イエカの繁殖を防ぐために

ここからの内容はヤブカとほぼ共通です。

イエカは、山間部であろうと都市部であろうと、ところ構わず生息しています。産卵・孵化して繁殖するには本当に少量の水しか必要としておらず、完全な根絶はなかなか難しいものがあります。しかしちゃんと手段を講じれば繁殖を抑制することは可能です。

 

1.自宅の周りから繁殖場所をなくす

とにかく自宅の周りから水場をなくすところから。空きタイヤや放置バケツ、プランター、空き缶など、水が溜まるものをできる限り除去しましょう。イエカはこういった場所に産卵してその数を増やしていきます。

生い茂った雑草もイエカの隠れ家になるのでできる限り綺麗に刈り取りましょう。ドブがあるならば、そこが発生源になる可能性もあります。定期的に清掃して水はけが良い状態を保ってください。溜まる水さえなくなればボウフラは生息できません。

 

2.ダミーの産卵場所を用意して一網打尽に

また、あえてトラップとしてこちらで水場を用意し、ボウフラが現れたところで水を廃棄して駆逐するという手段も有効です。

ボウフラは誘引フェロモンを持っていて、自分がいる水場に成虫のメスを引き寄せる能力があります。成虫に「ここに産卵できる水場あるよー」とボウフラが教えているわけです。これはこれですごい能力ですね。

それを逆手にとって、近辺のイエカの産卵場所をそのトラップ水場に集中させます。そしてボウフラが羽化する前にその水をぶちまけて一網打尽にするわけです。水をぶちまけるのはコンクリート舗装の道路の上がいいでしょう。ドブや側溝などに捨てると水がはけきらずに羽化を許す可能性があります。

イエカのすみか

 

イエカの成虫の接近を防ぐために

まずは屋内への侵入を防ぐところから。窓を開ける場合は必ず目の細かい網戸にしましょう。なんと目が粗い網の場合は、イエカは体を入れて潜り抜けようとする習性があることがわかっています。窓のさんには隙間がある場合もあるので一度チェックして、もし発見した場合は塞ぎましょう。換気扇なども旧式の場合は防虫網の目が粗いときがありますので注意してみて下さい。

それでもイエカの侵入を100%防ぐことはできません。人が出入りがある玄関や、洗濯などで開ける窓からの侵入は気をつけていても完全阻止は不可能です。もし侵入されてしまった場合は、蚊取り線香やべープマットなどを設置するしかありません。これらは目に見えて大きな効果があります。設置すると、目の前を飛んでいるイエカがフラフラしだして突然ポトリと地面に落ちるぐらい。

ただし、ものによっては臭いがあったり、ペットに良くない影響がある場合があるので、使用するときは取扱説明書を熟読してからにしてください。
ベープマット 蚊取り器 セット 本体+取替(30枚入)
ベープリキッド 蚊取り器 液体式 60日セット 本体+取替(60日)

「イエカが部屋のどこかにいる、でもべープマットなんか常備してない!」なんて場合は、部屋の電気を明るくしたまま寝るという手段も地味に有効です。イエカは夜行性であるため、明るい部屋にはあまり近づかない傾向があります。ただしあくまで傾向があるだけなので、完全な対策とはいえません。

屋外で蚊が気になるときは虫除けスプレーなどの忌避剤を肌や衣服にかけておきましょう。ディート(DEET)という成分が入っている製品ならば、イエカに対してはまず間違いがないです。成分をみて確認しておきましょう。
蚊がいなくなるスプレー 蚊取り 12時間持続 200日分 無香料 (防除用医薬部外品)

余裕があるなら屋外に出かける前にシャワーを浴びておくのも意外に効果的です。イエカは人間の皮膚から出る代謝物と臭い(特に足の臭いなど)を感知して近寄ってくるので、そういったものを一度洗い流すことでイエカの接近を少なくすることができます。ただし、あまり熱いシャワーを浴びてしまうと新たに汗をかいてしまって逆効果なのでご注意を。基本的にはこれらの対処でイエカの接近はだいたい防げるはずです。

べーぷマットや蚊取り線香でイエカの対策をする

 

イエカに刺されてしまったら

イエカは水さえあれば大抵の場所に適応することができます。ドブ川はもちろん、放置ゴミが溜まった場所、地下鉄の中にだって生息していたりします。そのため普通に都心部で暮らしていても、イエカに刺される機会は多々あるでしょう。

刺されたときの対処のひとつとして、まず一般的にはムヒやウナコーワなどの虫刺され薬を塗ることを思いつくでしょう。ただし刺された患部にはできる限り早く塗るようにしましょう。そのほうが効果が圧倒的に大きいです。
【指定第2類医薬品】液体ムヒS2a 50mL
【第2類医薬品】新ウナコーワクール 30mL

あとは熱でイエカの唾液成分を無効化する方法があります。個人的にはこれが一番効果的な対処法だと思っていて、刺されてすぐに熱湯で患部を45~50℃程度に温められれば、痒みと腫れは驚くぐらいに軽減されます。ただし温める熱湯をすぐに用意できないケースが多いのが難点。お湯が出る環境ならばいいですが、屋外や外出先だとさすがに難しいでしょう。

逆に冷やす方法も。これも炎症を抑える効果がありますが、炎症の原因そのものを除去する効果はありません。冷やしている間は一時的に痒みは治まりますが、それをやめるとすぐに腫れて痒みが戻ってきます。あまりおすすめできません。

石鹸で患部を洗い流す方法もあります。痒み成分は酸性なので、アルカリ性の石鹸で洗い流せば中和されて毒性がなくなるという理論です。すでに痒み成分は体内に入ってしまっているので、外から患部を洗うだけで中和されるのかが疑問ですが、実際に自分の経験でも効き目は感じますし、ネット上でも好意的な意見が多い方法です。

意外に知られていないのがテープを貼る方法。絆創膏、極端な話セロテープでもガムテープでも構いません。患部が空気に触れなくなるので外部からの刺激を受けず、痒みがほとんどなくなります。外部刺激がなくなれば無駄に患部が腫れあがることもなくなり、かなり効果的な処置といえるでしょう。

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