チャバネゴキブリ

チャバネゴキブリとは?

チャバネゴキブリは、昆虫綱ゴキブリ目に分類されるゴキブリです。

日本ではクロゴキブリと並んでメジャーな種で、このチャバネゴキブリは主に室内で繁殖して私たちを困らせています。飲食店などで見かける種は大抵このチャバネゴキブリ。

クロゴキブリとチャバネゴキブリ
↑チャバネゴキブリは茶色くて体長は15mmまで(左)、クロゴキブリは赤黒くて大きければ体長40mmぐらいに(右)

 

チャバネゴキブリの身体的特徴

チャバネゴキブリは、体長は10~15mm程度になります。ゴキブリ全般の中では比較的小さい部類だといえるでしょう。

体色は明るい茶褐色で、半透明の羽には鮮やかな光沢があります。しかしその羽は実は飾りでしかなく、チャバネゴキブリは実は飛ぶことができません。よく「ゴキブリは目が合うとこちらに向かって飛んでくる」なんていいますが、あれはクロゴキブリのことを言っていて、チャバネゴキブリとは関係のない話なのです。

あとゴキブリと言えば、とんでもない速度で走って逃げるイメージがありますが、これについてもクロゴキブリの印象によるところが大きいです。チャバネゴキブリは目にも止まらぬような速度で走ることはできませんし、そもそも人間に対する警戒心が少ないので、一目散に逃げ去ることすらあまりしません。ある意味ふてぶてしいゴキブリ。

チャバネゴキブリは飛ばない

 

チャバネゴキブリの生活と繁殖

元々熱帯が原産の昆虫なので温かい場所を好みます。そのため屋外で生活することはほとんどなく、大抵人間の家屋の中に住み着いて生活しています(屋外だけに住むモリチャバネゴキブリという種もいますが)。

屋内の中でも好むのは、やはり温かくて狭い場所。天井裏や床下、または冷蔵庫やエアコンなどの家電製品の中に入り込み、集団でコロニーを作って生活していきます。

交尾・産卵はそこそこ温かい場所であれば年中行うことができます(月に一度ぐらいのペース)。一度の産卵で作った卵鞘には40~50個の卵が収納されており、メスはそれを自分のお尻にくっつけたままで生活していきます。孵化までの期間は20日前後で、成虫に成長するまではだいたい60~90日程度。生育したチャバネゴキブリはそこからさらに150日程度は生き続けます。

このように年中が繁殖期で、産卵数が多く、そのサイクルも非常に短いことから一度屋内に入り込まれるととんでもない速度でその数を増やしていきます。もし屋内でチャバネゴキブリを発見してしまったら、すでに大繁殖を許してしまっている可能性があります。

チャバネゴキブリと卵
↑チャバネゴキブリの卵鞘。中には40~50の卵が入っている。

 

チャバネゴキブリの食事と天敵

チャバネゴキブリはご承知のとおり雑食性です。昼間は狭いコロニーに密集してじっとしていますが、夜になるとエサを求めて活動を始めます。

成虫のエサは、ハエなどの小さな昆虫、植物、人間の食事の食べ残しはもちろん、ペットフードや古本、人間の毛髪・大便、自分達の糞まで食べてしまいます。しかも環境によっては共食いまですることも。好き嫌いなくなんでも食べる、食事に関しては非常に優等生。だからこそ、どんな環境でもしぶとく生きていけるのでしょう。

ゴキブリはキュウリだけは苦手、なんて話も聞きますが、普通にキュウリを食べている目撃談もあって、真偽は定かではありません。

逆に天敵は、アシダカグモなどの大型蜘蛛類、ムカデなど。しかしゴキブリ対策のために、アシダカグモやムカデと同居するのはちょっと厳しいところです(汗)

チャバネゴキブリ

 

チャバネゴキブリの侵入を防ぐための対策

まずはチャバネゴキブリの屋内への侵入経路を塞ぎましょう。2mm程度の平たい隙間があれば彼らは平気でそこを通り抜けてきます。窓のさん、天井裏、床下、エアコンダクトなど、ゴキブリの侵入の可能性がある隙間を洗い出し、パテやテープなどで塞いでいきましょう。

あと可能性が高いのは下水からのルート。排水管の内側は虫やゴキブリの侵入を防ぐために通常「返し」がついていますが、盲点なのは配水管の外側を這って登ってくるケース。そこに隙間がある場合はガムテープなどで完全に塞ぎましょう。

チャバネゴキブリ侵入経路

 

意外に盲点なのは、屋外から自分で持ち込んでしまうパターン。飲食店で働いていて、着用してた制服や、置いていたカバンの中へのゴキブリの侵入に気付かずにそのまま自宅に持ち帰ってしまう場合が少なからずありえます。飲食店・病院などのゴキブリが多い施設に勤務している場合は気を配ったほうが良いかと思います。

さらには、チャバネゴキブリの住み良い環境を排除することが大事です。部屋の中はこまめに掃除して、可燃ごみや生ゴミを長期間置くようなことはしないようにしましょう。食事の食べ残しは必ず密閉容器に入れるか、冷蔵庫の中にしまうように。ペットフードもしっかりと密閉し、ペットの糞の始末もこまめに。キッチン周りは、夕食後はなるべく水分を布巾で綺麗に拭きとっておくとよいでしょう。あとダンボール材も彼らにとってはエサや住処になるので、いらないダンボール箱は始末。このようにチャバネゴキブリがそこに住む理由を排除していけば、彼らが居つくことはなくなります。

チャバネゴキブリはダンボールなども食べる

 

もしチャバネゴキブリの繁殖を許してしまったら

もし室内で定期的にチャバネゴキブリを見かけることになってしまったら、残念ながらそれはもうチャバネゴキブリの繁殖を許してしまっています。一刻も早く対策を講じて殲滅しましょう。放置すればするほど彼らはその数を増やし、殲滅が困難になってしまいます。

 

1.ホウ酸ダンゴ型

お手軽なのはホウ酸ダンゴの設置です。ホウ酸ダンゴは海外でも「ジャパニーズ・ホウサン・ダンゴ」として知られるほどにゴキブリ対策としては世界的に有名な手段となっています。

市販品でも十分な効果が期待できますが、ホウ酸の含有量を増やせば、それを摂取したゴキブリの糞にもホウ酸の効果が得られたり、誘引物質を増やして(タマネギやジャガイモ)引き寄せる効果を高めたり、その家のゴキブリに対してカスタマイズをすることができるため汎用性が高いです。ゴキブリの通り道になりそうな場所に設置してやりましょう。

ただし老人や幼児、ペットが同居する家では誤飲の可能性もあるのでその点だけは十分に注意しましょう。

 

2.毒餌型(ベイト型)

仕組みとしてはホウ酸ダンゴと全く同じです。誘引剤でゴキブリを引きつけて毒のエサを食べさせて、巣に帰ったそのゴキブリが死亡、その死骸や糞を食べたほかのゴキブリも死亡、という原理。プラスチックケースの中に収納されているので誤飲の心配がないのがメリットです。その効果もかなり信頼性が高く、ゴキブリ対策としてはかなり安定した方法になります。

 

3.煙霧型

一度でゴキブリの成虫を全滅させるという点では最良の手段だといえます。ついでにダニやノミまで退治できるので害虫殲滅能力としても最強。ただし食器や電子機器にラッピングをする必要があり、ペットに魚や昆虫を飼っている場合は数日間外部に撤去しなければいけないなど、使用するためには一手間かかるのが難点です。

また煙系の殺虫剤は卵には効果がありません。一度の使用で成虫を全滅させても卵が残ってしまうので、孵化するであろう20日後に再び殺虫剤を炊く必要が出てきます。

 

4.ゴキブリホイホイ型

捕獲したゴキブリの姿がはっきりと見えて、退治している感は一番強いです。しかし捕まるのは活動的に動き回る成虫が多く、コロニーでじっとしていることが多い幼体はそんなにはかかりません。ゴキブリの数は減らすことができますが、根絶には繋がらないのでこれだけの運用はおすすめできません。場所もとりますし、ビジュアル的にもちょっとアレですしね(苦笑) ホウ酸ダンゴやコンバットの合わせ技として使っていきましょう。

 

チャバネゴキブリと戦う!

対策はいろいろ講じていても、いざゴキブリを目の前にするとどうしていいかわからなくなるものです。特に女性はゴキブリというだけで萎縮してしまう人も多いことでしょう。

しかしそのとき逃がしてしまった個体は確実に部屋の中のどこかに住み続けるわけですし、繁殖して数を増やすことにもつながってしまいます。勇気を出して確実に始末しましょう。

遠距離からでも殺せるのはゴキジェット系のスプレータイプ。最近は毒ではなく冷却によって殺すタイプが多く、その場合はキッチンのようなデリケートな場所で使うのにも抵抗がないのでおすすめです。

手元にスプレーを用意していない場合は打撃戦です。スリッパなり、丸めた雑誌などで叩いて殺しましょう。チャバネゴキブリはそれほど俊敏ではありませんし、何より飛ぶことがありません。落ち着いて対応すれば、接近戦で退治することはさして難しいことではないです。勇気を振り絞ってがんばってください(笑)

チャバネゴキブリチャバネゴキブリ

 

番外編 飲食店におけるチャバネゴキブリ対策

チャバネゴキブリの出現に一番頭を悩まされるのは飲食店です。なぜなら、飲食店の厨房は温かい、湿度が高い、食料が豊富、隠れ家が多いなど、彼らが好む条件が全て揃っているからです。

チャバネゴキブリ

まずはどれぐらいの数のゴキブリに侵入されているか確認しましょう。ゴキブリは基本的には人が出入りしているときは巣にじっと潜んでいて姿を見せません。閉店後に厨房の電気を消して人の出入りを断ち、一時間ほど時間をおいてください。その後戻ってきて電気をつければ、もしゴキブリがいた場合は姿を現しているはずです。

このときに、本当に引くぐらいの大量のゴキブリが姿を見せているなんてこともザラです。ときには1000匹以上といったものすごい状況も。大袈裟な話ではありません、繁殖を許していれば本当にこれぐらいの量が現れることはありえます。

幸運にも1匹も現れなかった場合は良いのですが、もし少数でも発見してしまった場合は対処が必要になります。飲食店の場合は以下のような対策を施しましょう。

 

1.閉店後には最低限の掃除を

ゴキブリはエサの匂いに惹きつけられてやってきますし、そのエサを食べて繁殖します。床に残った油や、コーナーポケットの生ゴミなど、人間からみても汚く見えるものはきちんと掃除して片付けましょう。ただし、あくまで最低限の掃除でかまいません。髪の毛1本さえエサにしてしまうゴキブリを掃除だけでなんとかするのは物理的に不可能に近いので。

 

2.侵入経路を全て防ぐ

お店の勝手口などは隙間が大きかったりします。パテなどの壁材で埋めてしまうか、ゴキブリ用の市販の忌避材を塗布するようにしましょう。換気扇はできるなら回しっぱなしにしておくことをオススメします。回しっぱなしが無理なら網目のフィルターを装着。もし配水管にトラップがついていないなら、工事をしてでも必ずトラップつきのものに交換しましょう。ゴキブリの最大の侵入ルートです。厨房の床にある排水溝も工夫をしたいところ。細かい網目状のカバーをつけるか、忌避材をこまめに塗布するようにしてください。

チャバネゴキブリは下水からくる

 

3.巣になっていそうなところを大掃除、毒エサを設置する

ゴキブリは狭くて温かくて湿っている隙間であればどこでも巣にします。厨房であれば、大きな什器類の裏側、冷蔵庫などの電化製品の裏、排水溝の中、温かい給水管の側、長く放置されたダンボールなどが該当するでしょうか。ゴキブリの巣になっていそうなところを重点的に大掃除しましょう。その後、すぐそばにコンバットなどの毒エサ系のトラップを設置しておきます。

 

4.どうしても改善がされなければ業者に依頼する

それなりに費用がかかってしまいますが、一番確実で有効な手段ではあります。いまやブログ・SNSで消費者が、お店の感想を簡単に全世界に発信できてしまう世の中です。「あの店はゴキブリが出た」なんて情報を発信されしまったときの損害を考えると、多少の費用を覚悟することも仕方ないのかもしれません。

チャバネゴキブリ

クロゴキブリ

クロゴキブリ

クロゴキブリとは?

クロゴキブリは、昆虫綱ゴキブリ目に分類されるゴキブリです。

日本ではチャバネゴキブリと並んでメジャーな種。基本的には屋外で活動するゴキブリですが、温かい空間を求めて屋内にも積極的に侵入を試みる厄介な奴です。

クロゴキブリ
↑クロゴキブリは暗い赤褐色で体長は30mmを越えることも(左)、チャバネゴキブリは薄い茶色でせいぜい体長15mmぐらい(右)

 

クロゴキブリの身体的特徴

クロゴキブリは、成虫ならば体長は25~40mm程度になります。日本で見かけるゴキブリの中ではやや大型の部類(ちなみに日本最大種は沖縄に生息するヤエヤママダラゴキブリで約50mmです)。

体色は暗い赤褐色ですが、個体によっては黒が強かったり赤が強かったりと差があります。体、翅にかなり強い光沢があるのが特徴。

全く飛ぶことができないチャバネゴキブリと違って、クロゴキブリはその翅を使って力強く飛ぶことができます。よく「クロゴキブリは飛翔できない、自分より低い位置へ滑空することしかできない」なんていいますが、実際には彼らはそれなりの高さまで地力で飛翔することができます。なので床を這っているクロゴキブリが飛び立たないと思ったら大間違い。ただし、やはり飛翔能力が高いわけではなく、積極的に自ら飛翔するケースが少ないのは事実です。

あと「ゴキブリは目が合うとこちらに向かって飛んでくる」なんて話がありますが、ゴキブリは視力が悪く、人間の視線を認識できるような知能を持っているとは考えにくいです。あくまで都市伝説。

ゴキブリは視力が悪い

 

クロゴキブリのお尻には1対の尾角と呼ばれる触角器官があります。これによりクロゴキブリは周囲の空気の流れを捉えることができます。後から足音を立てずに近寄ったにも関わらず逃げられてしまうのは、 この尾角による危険察知能力によるものです。そのため意外かもしれませんが、ゴキブリを倒すときは背後からではなく、前方向から近づいたほうが良い成果を得られることが多いのです。

また、クロゴキブリの逃走速度はとてつもないです。1秒間で1mぐらいは走るので、倒し損ねると一目散に家具の隙間へ逃げられてしまうこともしばしば。

そして彼らの逃走方向は非常に様々です。真っ直ぐ遠ざかる方に逃げることもあれば、横方向に蛇行したり、稀にこちらに向かってくることも。彼らの逃走方向の選択についての研究を進めたところ、個体によって数パターンの逃走方向を持っており、そのときの瞬時の判断でそれを選択していることがわかりました。つまり、クロゴキブリは「常に真っ直ぐ遠ざかるように逃げる」より、様々な逃げ方を使い分けたほうが生存確率が上がるということを知っているのです。なんてしたたかな生き物なんでしょう。

クロゴキブリの逃走

 

クロゴキブリの生活と繁殖

寒さに弱く、家屋を主な住みかにするチャバネゴキブリとは違い、クロゴキブリは屋外に住むことが多いゴキブリです。

ゴミ置き場や、建物と建物の間の細い隙間の中、マンホールの中などを好み、明るい昼間はそこでじっとして時間を過ごし、暗くなるとエサを探して活動を開始します。夏の夜に繁華街を歩くとアスファルトの上を這うクロゴキブリをよく見かけるはずです。ただし彼らは夜通し活動するわけではありません。ほとんどの場合は日没後から深夜2時ぐらいまでで活動を終え、また薄暗い住処に引っ込んでいきます。

クロゴキブリは幼虫期で約250日、成虫期で約200日ほど生きます。つまり全体の寿命は450日程度。その生涯の中で20回程度の産卵を行います。

1度の産卵で産み落とされる卵は20~30個。メスは卵を卵鞘の中に収納し、それを安全な物陰に唾液で固定します。孵化までの期間はだいたい45日前後。ただしこれは気温の影響を非常に大きく受けます。夏のように暖かい時期であれば孵化は早まり、秋に産卵されたものは、そのまま卵として越冬するため200日以上の期間をかけることになります。

このように年中が繁殖期で、産卵数が多く、そのサイクルも非常に短いことから、一度屋内に入り込まれるととんでもない速度でその数を増やしていきます。もし屋内でクロゴキブリを発見してしまったら、すでに大繁殖を許してしまっている可能性があります。

クロゴキブリの卵
↑クロゴキブリの卵鞘。チャバネゴキブリと違って、ずっとメスが持ち運ぶことはない。

 
クロゴキブリの孵化と幼虫
↑孵化した直後のクロゴキブリ(左)、クロゴキブリの幼虫(右)

 

クロゴキブリの食事と天敵

クロゴキブリはご承知のとおり雑食性です。昼間は狭いコロニーに密集してじっとしていますが、夜になるとエサを求めて活動を始めます。

成虫のエサは、ハエなどの小さな昆虫、植物、人間の食事の食べ残しはもちろん、ペットフードや古本、人間の毛髪・垢・排泄物、自分達の糞まで食べてしまいます。さらにはダンボールや食用油、障子紙など、本当に何でもアリ。唯一苦手なのはハーブ系の香りが強い植物のみ。

これだけ好き嫌いなくなんでも食べる上に、飢餓に対しての耐性も抜群です。食事なしでも数十日、水なしでも相当な期間を生存して活動することができます。これは体内に脂肪の液を溜め込んでいるおかげで、食べ物にありつけないときはこれを消費して飢えを凌ぐことができます(ゴキブリを叩き潰したときに出るあの白い体液がそうです)。

逆に天敵は、アシダカグモなどの大型蜘蛛類、ムカデ、カマキリなど。しかしゴキブリ対策のために、アシダカグモやムカデと同居するのはちょっと厳しいところです(汗)

ゴキブリを捕食するアシダカグモとカマキリ
↑ゴキブリを捕食するアシダカグモ(左)、同じくカマキリ(右)

 

クロゴキブリの侵入を防ぐための対策

まずはクロゴキブリの屋内への侵入経路を塞ぎましょう。3mm程度の平たい隙間があれば彼らは平気でそこを通り抜けてきます。窓のさん、天井裏、床下、エアコンダクトなど、ゴキブリの侵入の可能性がある隙間を洗い出し、パテやテープなどで塞いでいきましょう。

あと可能性が高いのは下水からのルート。排水管の内側は虫やゴキブリの侵入を防ぐために通常「返し」がついていますが、盲点なのは配水管の外側を這って登ってくるケース。そこに隙間がある場合はガムテープなどで完全に塞ぎましょう。

クロゴキブリ侵入経路

さらには、クロゴキブリを引き寄せてしまう環境を排除することが大事です。彼らは室内に篭った食物の匂いに惹かれてやってきます。部屋の中はこまめに掃除して、可燃ごみや生ゴミを長期間置くようなことはしないようにしましょう。食事の食べ残しは必ず密閉容器に入れるか、冷蔵庫の中にしまうように。ペットフードもしっかりと密閉し、ペットの糞の始末もこまめに。キッチン周りは、夕食後はなるべく水分を布巾で綺麗に拭きとっておくとよいでしょう。このようにクロゴキブリが侵入したくなる理由を排除していけば、彼らとの遭遇率は格段に低くなります。

クロゴキブリが他の仲間を引き寄せる

 

もしクロゴキブリの侵入を許してしまったら

もし室内にクロゴキブリが入ってきてしまったら、一刻も早く対策を講じて退治しましょう。屋外での繁殖力についてはチャバネゴキブリほどの脅威ではありませんが、クロゴキブリでもやはり嫌なものは嫌です。

 

◎目の前のクロゴキブリと戦う!

いざゴキブリを目の前にするとどうしていいかわからなくなるものです。特に女性はゴキブリというだけで萎縮してしまう人も多いことでしょう。

しかしそのとき逃がしてしまった個体は確実に部屋の中のどこかに住み続けるわけですし、繁殖して数を増やすことにもつながってしまいます。勇気を出して確実に始末しましょう。

遠距離からでも殺せるのはゴキジェット系のスプレータイプ。最近は毒ではなく冷却によって殺すタイプが多く、その場合はキッチンのようなデリケートな場所で使うのにも抵抗がないのでおすすめです。

もしポットがあって熱湯がすぐに手に入る状態であれば、それも立派な武器。ゴキブリは自分の体温が50℃以上になるとすぐに死んでしまいます。カップ1杯の熱湯をゴキブリにかけてやれば、瞬時に息の根を止めることができます。

ほかには食器用の洗剤をかけても殺すことができます。ゴキブリの呼吸口には油の膜があって、これが水の浸入を防いでいるのですが、洗剤の界面活性剤によってその油膜が取り除かれ水が呼吸口に入り、呼吸困難を起こすというわけです。度数が30%以上のアルコールでも同様の効果が期待できます。

手元に殺虫剤も熱湯も洗剤もない場合は仕方ありません、打撃戦です。スリッパなり、丸めた雑誌などで叩いて殺しましょう。前述しましたが、尾角があるため後から近寄るのは得策ではありません。前方からそっと近づき、一瞬でカタをつけましょう。

よく潰した後の死骸のことを考えて手加減してしまいがちですが、それで逃がすと必ず後でものすごく後悔します(筆者談)。思い切って渾身の一撃を叩き込むことをおすすめします。

クロゴキブリ

 

◎クロゴキブリに逃げられた・・・部屋のどこかにはいるはず、どうしよう(涙)

残念ながら逃げられてしまった場合。タンスや冷蔵庫の隙間に入られてしまうとさすがに手が出せません。隙間から出てくるのをじっと待つわけにもいきませんし、このまま住み着かれて繁殖されても困ってしまいます。そういう場合は何かしらゴキブリ退治アイテムに頼りましょう。

 

1.ホウ酸ダンゴ

お手軽なのはホウ酸ダンゴの設置です。ホウ酸ダンゴは海外でも「ジャパニーズ・ホウサン・ダンゴ」として知られるほどにゴキブリ対策としては世界的に有名な手段となっています。

市販品でも十分な効果が期待できますが、ホウ酸の含有量を増やせば、それを摂取したゴキブリの糞にもホウ酸の効果が得られたり、誘引物質を増やして(タマネギやジャガイモ)引き寄せる効果を高めたり、その家のゴキブリに対してカスタマイズをすることができるため汎用性が高いです。ゴキブリの通り道になりそうな場所に設置してやりましょう。

ただし老人や幼児、ペットが同居する家では誤飲の可能性もあるのでその点だけは十分に注意しましょう。

 

2.コンバット

仕組みとしてはホウ酸ダンゴと全く同じです。誘引剤でゴキブリを引きつけて毒のエサを食べさせて、巣に帰ったそのゴキブリが死亡、その死骸や糞を食べたほかのゴキブリも死亡、という原理。プラスチックケースの中に収納されているので誤飲の心配がないのがメリットです。その効果もかなり信頼性が高く、ゴキブリ対策としてはかなり安定した方法になります。

 

3.バルサンなどの煙霧剤

一度でゴキブリの成虫を全滅させるという点では最良の手段だといえます。ついでにダニやノミまで退治できるので害虫殲滅能力としても最強。ただし食器や電子機器にラッピングをする必要があり、ペットに魚や昆虫を飼っている場合は数日間外部に撤去しなければいけないなど、使用するためには一手間かかるのが難点です。

またバルサンの煙は卵には効果がありません。一度の使用で成虫を全滅させても卵が残ってしまうので、孵化するであろう20日後に再びバルサンを炊く必要が出てきます。

 

4.ゴキブリホイホイ

捕獲したゴキブリの姿がはっきりと見えて、退治している感は一番強いです。しかし捕まるのは活動的に動き回る成虫が多く、コロニーでじっとしていることが多い幼体はそんなにはかかりません。ゴキブリの数は減らすことができますが、根絶には繋がらないのでこれだけの運用はおすすめできません。場所もとりますし、ビジュアル的にもちょっとアレですしね(苦笑)ホウ酸ダンゴやコンバットの合わせ技として使っていきましょう。

 
クロゴキブリ

クマネズミ

クマネズミ

クマネズミとは?

クマネズミは、ネズミ目ネズミ科クマネズミ属に属する哺乳類です。日本の家庭において現れる家ネズミ(ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ)のひとつ。

クマネズミとハツカネズミとドブネズミの違い
↑ドブネズミ(左)、クマネズミ(中)、ハツカネズミ(右)

 

ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの外見での見分け方

まずハツカネズミは他の2種類に比べて明らかに小さいです(体長5cm~10cm程度)。そのためすぐに判別がつきます。

ドブネズミとクマネズミではドブネズミのほうが体格が大きいのですが、体長20cm前後の場合は 「小さなドブネズミ」 なのか 「大きなクマネズミ」 なのかそれだけではわかりません。見分け方としては、ドブネズミのほうが体のラインがずんぐりしていて、特に腰周りがしっかりとしています。また、ドブネズミの目は小さく、鼻先は丸め、尻尾もやや短めです。

そして見分ける最大のポイントは耳。ドブネズミの耳は小さく耳の中が複雑な構造になっていますが、クマネズミの耳は非常に大きく、逆に耳の中はドブネズミにくらべると非常に単純な構造になっています。

 

クマネズミの身体的特徴

クマネズミは、体長は15cm~22cm程度の大きさで、ドブネズミに比べると少しだけ小柄です。鼻先はやや尖っており、耳が大きく、目はつぶらで大きいのが特徴で、外見だけを見るとペットにしても良いかなと思えてしまうぐらいに非常に可愛らしい動物。

体色は基本的には褐色から灰褐色です。腹部は背中部分に比べて色が薄く、薄い黄色もしくは白色をしています。

クマネズミの身体的特徴

 

クマネズミの生息地

ドブネズミは湿った場所を好むため床下や地下階に住み着きますが、クマネズミは逆に高い場所を好んで天井裏などに住み着きます。

彼らは垂直の壁や配管などを登ることができ、電線などの細い足場の綱渡りもお手のものです。さらに1~2メートルは飛べるほどの強い跳躍力を持っており、柔らかい壁材ならば自分で穴を空けられるほどに鋭い歯を供えているため、家屋への侵入を完全に防ぐのは非常に困難です。

近年では都心部に高層ビルが増えてきましたが、そこでさえクマネズミの大量発生が問題になることもあります。ビルの建物内部では配管や電気系統のケーブルが縦方向につながっており、免振構造が採用されている場合は壁と柱の間に空間があります。それらがクマネズミにとっては都合の良い縦貫道路になってしまい、ビル最上部まで侵入を許してしまうわけです。

 

クマネズミの生活と繁殖

クマネズミは乾いていて雨風がしのげる密閉空間を好みます(基本的には縦横10cm程度の狭い空間を好んで選ぶようです)。

本来は昼行性の生き物なのですが、人家に住むクマネズミは完全に夜行性です。これは人間を相手にするには夜に行動したほうが都合が良いことを学習しての行動だと言えるでしょう。クマネズミはそれぐらい知能が高く、適応力に優れた動物です。

生殖活動が積極的に行われるのは春と秋。3週間程度の妊娠期間をもって、1度に5、6匹程度の子供を産みます。生まれた子供は12週間程度で性成熟し、次の子供を産むようになります。成獣の寿命はだいたい2年程度です。

しかし1年を通して温度変化がほとんどないビルなどを住みかにした場合、繁殖は1年中行われます。「ねずみ算式に増える」という言葉のとおり、この場合クマネズミは爆発的に数を増やし、それが大きな問題になるケースもしばしば。

クマネズミの生活と繁殖

 

クマネズミの食事と天敵

クマネズミは雑食性です。しかしドブネズミと違って、肉・魚系の動物性のたんぱく質はそれほど好みません。どちらかというと、米や芋、果物などの穀物を好んで口にします。あとはチーズやソーセージなどの加工品など。

しかし、あくまでこれらは好みの話。腹を空かしているときは、石鹸、常備薬、サプリメント、ゴキブリ団子まで口にしたりします。結局は彼らは有機物であればなんだって食べてしまうのです。

彼らはその鋭い歯で食品のパッケージを破って中身を取り出します。時には食品保管用のプラスチックケースでさえも破壊することがあるぐらいです。全く、本当に厄介な連中だこと(汗)

逆に彼らの天敵は、ネコ、イタチ、ヘビ、大型の鳥類などです。ネコやフェレットがペットとして飼われている家では、ネズミ達はその気配や臭いを感じ、自分達にとって居心地の悪い家だと判断して引っ越していくケースもあるようです。

クマネズミの食事と天敵

 

クマネズミの人間に対する害

1.衛生面での問題

クマネズミは、ゴミ置き場や排気口、天井裏などの汚れた場所を好んで徘徊しています。死肉を食べるときもありますし、ゴキブリなどを捕まえて食べていることもあります。そのため衛生状態は最悪です。

そのネズミが買い置きの食物をかじっていたり、キッチンの上を走り回ったり、寝ている間に人間を咬んだり、そういったことで人間がネズミの持っている病原菌に接触してしまうことがあります。サルモネラ菌、レプトスピラ菌、ペスト菌、鼠咬症など、発症するとかなり重症になる病気も存在するため、ネズミぐらいと馬鹿にすることはできません。

また、イエダニやノミに寄生されている個体が多く、室内にそういった衛生害虫が侵入する原因にもなります。さらにクマネズミに天井を寝床にされて糞や食物を撒き散らされると、ゴキブリなどの繁殖を許してしまう可能性も高まってしまいます。

 

2.家財の損傷

クマネズミは際限なく前歯が伸び続ける生き物なので、常に何か固いものをかじって歯を削っています。木材はもちろんのこと、無機物である壁材、プラスチック、何でもかじって破壊してしまいます。コードなどの配線をかじられて、それが原因で停電や火事になるケースもあります。

クマネズミの害

 

クマネズミの侵入を防ぐための対策

さて、ようやく本題です。人家に侵入する3大ネズミの中で、実はこのクマネズミが一番厄介だと言われています。ジャンプ力が高く、地下よりは天井を好む性質、トラップに対しての高い学習能力がその理由です。

夜中に天井や壁の中で足音や、何かをかじっている音がする、室内に細長い糞がある(クマネズミは立ち止まって糞をしないため散らばる傾向にある)、などが見つかれば、それはすでに家の中にクマネズミが侵入しているサインです。

まずはクマネズミの屋内への侵入経路をチェックしましょう。家の周囲をチェックして、壁材の破損箇所などのクマネズミが侵入できそうな隙間を探し、もしそういった隙間があった場合は、セメントや補修材で修復しましょう。

ただしクマネズミは本当にルートの特定が難しい動物です。前述したとおり、彼らは垂直方向の壁や配管をすいすい登って、天井近くの高い場所にある人間が気付かないような隙間を侵入経路にしている場合もあります。さらに細いロープの綱渡りもお手のもの。思いつく限りの侵入ルートを塞いでもダメなら、次はクマネズミが好まない環境作りを心がけましょう。

 

クマネズミが好まないような環境を作る

侵入を完全に塞ぐのが無理であるとわかった場合。こちらにできるのは、クマネズミに「うわー、この家住みにくいわ、ほか行こ」と思わせること。そのための手段をいくつか紹介していきます。

 

1.ネズミ用の忌避剤を使用する

侵入経路になっていると思われる場所に設置することで、ネズミがその場所を嫌がって寄り付きにくくなります。スプレータイプのものも市販されていて、どちらでも効果が期待できます。ただし時間が経つと効果が薄れてしまうので、定期的な再設置が必要になります。

 

2.ネズミ捕獲用のワナを設置する

ネズミを物理的に捕獲する手段として使用します。ゴキブリホイホイの巨大版のような粘着シート、箱状のマウストラップなどが市販されています。ネズミの通り道となっていると思われる場所に設置しましょう。ただしクマネズミは体が大きくてかなり力が強いので、それぞれのトラップはしっかりと固定しておかないと暴れて逃げられてしまいます。

  

 

3.ネズミ用の毒剤を設置する

「エンドックス」という名前の薬剤で、ネズミ退治には昔から定番の毒剤です。ネズミの通り道になっている場所に多めに散布しておけば、体に付着した薬剤をネズミが毛繕いすることで自ら体内に取り込み効果を発揮します。また、エサとなる食べ物にふりかけておいたり、ダンゴを作ったりして、直接ネズミの体内に取り込ませることも可能です。

ただしこの毒には即効性はないため、効き目を実感するには数日間の継続使用が必要になります。散布した薬剤が減っていたら注ぎ足して、様子を見てみてください。

しかしこれら①②③の方法は、最初は効果があるかもしれませんが、いずれ全く効かなくなる可能性があります。クマネズミの本当に恐ろしいところは、トラップや薬剤への適応力の高さです。一度目にしたトラップには二度と近寄りませんし、粘着シートなどはジャンプして飛び越えるときも。忌避材の臭いにはすぐに慣れてしまい、毒に対してさえも適性を持ってしまったりします。こういったトラップや薬剤に適応したネズミを、スーパーラットと呼んでいます。

 

4.ネズミが嫌がる電磁波や超音波によって撃退する

これは効果がテキメンのときもあれば、全く効かないということもあるようです。値段はかなり安価な物からあるので一度ダメ元で試してみるのも良いかもしれません。ただし、ずっと機械を起動し続けるとクマネズミはこれにも慣れてしまう場合があるようです。定期的にオン・オフを切り替えたり、別の音波装置とローテーションを組んだりするほうがより効果が得られる場合が多いようです。

 

5.専門業者に依頼して駆除してもらう

忌避剤、トラップ、毒剤、音波装置を使っても状況が改善されない場合は、すでに多少の対策が意味をなさないほどに大量繁殖を許してしまっている、もしくは薬剤に抵抗力を持ったスーパーラットが生まれてしまっている、などの可能性が考えられます。そうなってしまった場合は素直に専門業者に依頼しましょう。数万円単位の費用がかかってしまいますが、クマネズミは本当に手ごわい相手です。自分の手に負えないときは仕方がありません。

 

6.猫や犬を飼う

そんな古典的な、と思うかもしれませんが、猫を飼い始めてからネズミが現れなくなったという報告は多数あります。哺乳類の鳴き声や匂いと気配をネズミは非常に嫌がります。ペットを飼える環境でなければいけないという制約こそありますが、ネズミ対策としての信頼性は非常に高い手段だと言えるでしょう。

クマネズミの対策としては犬やネコを飼うのも有効

ハツカネズミ

ハツカネズミ

ハツカネズミとは?

ハツカネズミは、ネズミ目ネズミ科ハツカネズミ属に属する哺乳類です。日本の家庭において現れる家ネズミ(ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ)のひとつ。

ドブネズミとハツカネズミとクマネズミの見分け方

↑ドブネズミ(左)、クマネズミ(中)、ハツカネズミ(右)

 

ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの外見での見分け方

まずハツカネズミは他の2種類に比べて明らかに小さいです(体長5cm~10cm程度)。ハムスターぐらいのサイズと言えばなんとなくイメージが湧きやすいでしょうか。そのためすぐに判別がつきます。

ドブネズミとハツカネズミは大きさだけでは見分けがつきにくいですが、ドブネズミのほうが体のラインがずんぐりしていて、特に腰周りがしっかりとしています。また、ドブネズミの目は小さく、鼻先は丸め、尻尾もやや短めです。

そして見分ける最大のポイントは耳。ドブネズミの耳は小さく耳の中が複雑な構造になっていますが、ハツカネズミの耳は非常に大きく、逆に耳の中はドブネズミにくらべると非常に単純な構造になっています。

 

ハツカネズミの身体的特徴

ハツカネズミは、体長は5cm~10cm程度で、我々のイメージする「ネズミの大きさ」をしています(ドブネズミやクマネズミはちょっとした子猫並に大きいです)。ハムスターにかなり近い大きさと体格をしていて、顔にも愛嬌があります。

体色はバリエーション豊かで、黒色、褐色、灰色、ベージュ、白と様々です。自然の環境下においては茶色のものが割合多く見られます。腹部は背中部分に比べて色が薄くなっていきます。

ハツカネズミの特徴として特有の臭いがあります。これはカビの臭いに似ていて、ハツカネズミそのものから臭うのはもちろんですが、
巣や通り道になっている場所からもその臭いを感じることができるため、ネズミを発見するためのひとつのラットサインになります。

ハツカネズミの身体的特徴

 

ハツカネズミの生息地

ハツカネズミは家ネズミの中でも生息地が幅広く、人家以外にも、林、草原、河原、田畑、砂丘などあらゆる場所に生息しています。田舎であれば、もしかすると家の中よりは屋外で遭遇することのほうが多いかもしれません。

人家であれば人間が住むエリアよりも、物置や天井裏のような狭い場所を好みます。普段は野外で暮らしていても、寒い時期になると家屋に住処を移すパターンも多いようです。障害物が多い農家の納屋などは格好の住みか。大量に繁殖して飼料・肥料を食い荒らしてしまうこともあります。

 

ハツカネズミの生活と繁殖

ハツカネズミは乾いていて雨風がしのげる密閉空間を好みます。そのため乾きに対する耐性は非常に強く、船舶のコンテナのような水のない空間でもかなり長期間耐え生きることが知られています。

ハツカネズミは基本的には夜行性です。ただし人家に適応したネズミは、夜というよりは、人がいない時間を狙って行動するものが多いようです。ハツカネズミはそれぐらい知能が高く、適応力に優れた動物だというわけです。

生殖活動が積極的に行われるのは春と秋。3週間程度の妊娠期間をもって、1度に2~7匹程度の子供を産みます。生まれた子供は12週間程度で性成熟し、次の子供を産むようになります。成獣の寿命はだいたい1年~2年程度です。

だいたい20日程度の妊娠期間で子供を産むということでハツカネズミという名前がつけられていますが、実際にはほかのネズミもだいたい似たような妊娠期間になっています。また20日単位でどんどん増えていく印象がありますが、実際には成獣に成長するまでに3ヶ月ほどかかります。イメージで思っているほど短期間に爆発的に数を増やしていくわけではありません。

実験用のマウスはハツカネズミ
↑実験用に使われるマウスは分類上はハツカネズミになる(右)

 

ハツカネズミの食事と天敵

ハツカネズミは雑食性です。より好むのは穀物や種、野菜、花などの植物性のもの。小さな昆虫なども捕まえて捕食します。

逆に天敵になるのは、犬、猫、イタチ、ヘビ、カラスなど中型以上の鳥類です。しかし猫を飼っていない家屋に侵入してしまうと、考えられる天敵がいなくなってしまいます。結果的にハツカネズミにとってのパラダイスになってしまい、その場合は彼らの大きな繁殖を許してしまうでしょう。

ハツカネズミは家財を傷つける

 

ハツカネズミの人間に対する害

1.衛生面での問題

ハツカネズミは、ゴミ置き場や排気口、天井裏などの汚れた場所を徘徊しています。死肉を食べるドブネズミほどではありませんが、お世辞にも綺麗な体であるとは言えません。ネズミが買い置きの食物をかじっていたり、キッチンの上を走り回ったり、寝ている間に人間を咬んだり、そういったことで人間がネズミの持っている病原菌に接触してしまうことがあります。サルモネラ菌、レプトスピラ菌、ペスト菌、鼠咬症など、発症するとかなり重症になる病気も存在するため、ネズミぐらいと馬鹿にすることはできません。

 

2.家財の損傷

ハツカネズミは際限なく前歯が伸び続ける生き物なので、常に何か固いものをかじって歯を削っています。木材はもちろんのこと、無機物である壁材、プラスチック、何でもかじって破壊してしまいます。コードなどの配線をかじられて、それが原因で火事になるケースもあります。

また、ハツカネズミに天井を寝床にされて糞や食物を撒き散らされると、ゴキブリなど他の衛生害虫の繁殖を許してしまう可能性も高まってしまいます。

ハツカネズミの駆除対策

 

ハツカネズミの侵入を防ぐための対策

さて、ようやく本題です。

ハツカネズミは、ほかの家ネズミよりもかなりサイズが小さいので、そのぶん侵入経路も多くなります。骨格も見た目以上に細くて小さいため、直径1cm~2cmぐらいの穴があれば平気ですり抜けてきます。

まずはハツカネズミの屋内への侵入経路をチェックしましょう。家の周囲をチェックして、壁材の破損箇所などのハツカネズミが侵入できそうな隙間を探し、もしそういった隙間があった場合は、セメントや補修材で修復しましょう。

ネズミの通路になっていると思われる場所に忌避剤を設置するのも効果的です。ネズミがその場所を嫌がって近寄らなくなるため、ネズミの侵入を防ぐことにつながります。スプレータイプのものも市販されていて、どちらでも効果が期待できます。ただし時間が経つと効果が薄れてしまうので、定期的な再設置が必要になります。

 

すでにハツカネズミの侵入を許してしまっている場合

すでに屋内に侵入されている場合は、侵入経路を塞ぐだけでは足りません。もし家の内側に巣を作られていた場合はそこで繁殖されてしまうので、駆除する必要があります。そのための手段をいくつか紹介していきます。

 

1.ネズミ捕獲用のワナを設置する

ネズミを物理的に捕獲する手段として使用します。ゴキブリホイホイの巨大版のような粘着シート、箱状のマウストラップなどが市販されています。ネズミの通り道となっていると思われる場所に設置しましょう。ハツカネズミは興味心が強いため、比較的こういったトラップにかかりやすい傾向にあります。個体との相性もあるので、何種類かのトラップを使い分けるとより効果がでるでしょう。

 

2.ネズミ用の毒剤を設置する

「エンドックス」という名前の薬剤で、ネズミ退治には昔から定番の毒剤です。ネズミの通り道になっている場所に多めに散布しておけば、体に付着した薬剤をネズミが毛繕いすることで自ら体内に取り込み効果を発揮します。また、エサとなる食べ物にふりかけておいたり、ダンゴを作ったりして、直接ネズミの体内に取り込ませることも可能です。ただしこの毒には即効性はないため、効き目を実感するには数日間の継続使用が必要になります。散布した薬剤が減っていたら注ぎ足して、様子を見てみてください。

 

3.ネズミが嫌がる電磁波や超音波によって撃退する

これは効果がテキメンのときもあれば、全く効かないということもあるようです。値段はかなり安価な物からあるので一度ダメ元で試してみるのも良いかもしれません。ただし、ずっと機械を起動し続けるとハツカネズミはこれにも慣れてしまう場合があるようです。定期的にオン・オフを切り替えたり、別の音波装置とローテーションを組んだりするほうがより効果が得られる場合が多いようです。

 

4.専門業者に依頼して駆除してもらう

忌避剤、トラップ、毒剤、音波装置を使っても状況が改善されない場合は、すでに多少の対策が意味をなさないほどに大量繁殖を許してしまっている、もしくは薬剤に抵抗力を持ったスーパーラットが生まれてしまっている、などの可能性が考えられます。そうなってしまった場合は素直に専門業者に依頼しましょう。数万円単位の費用がかかってしまいますが、ネズミは本当に手ごわい相手です。自分の手に負えないときは仕方がありません。

 

ペットとしてのハツカネズミ

人によっては「ええっ!ネズミをペットに!?」と驚く場合もありますが、普通にペットショップに売っていて、ハムスターに近い感覚で飼育することができます。ペットショップで扱っているのは白い体色のアルビノ種の場合が多いようです(たぶん見た目が可愛いという理由で)。

飼い主に懐きやすくて愛らしいですが、体は強くなく、寿命は1~2年と短めです。そして尿の頻度が多い上に臭いが強めでトイレのしつけもできません。あとオスとメスを両方飼う場合は同じケージに入れるとすぐに繁殖してしまうので注意が必要です。また、ハツカネズミは必ずペットショップで購入したものを飼育してください。野生のものは非常に不衛生で、病気を持っていたり、性格も攻撃的な場合があったりするので飼育には向いていません。

野毛山動物園のふれあい広場ではハツカネズミ
↑横浜市にある入場無料の動物園、野毛山動物園のふれあい広場ではハツカネズミと戯れることができます。

ドブネズミ

ドブネズミ

ドブネズミとは?

ドブネズミは、ネズミ目ネズミ科クマネズミ属に属する哺乳類です。日本の家庭において現れる家ネズミ(ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ)のひとつ。中国北部が原産といわれており、日本には600年ほど前に貨物などに紛れて侵入し、適応して繁殖したと考えられています。

ドブネズミとクマネズミとハツカネズミ
↑ドブネズミ(左)、クマネズミ(中)、ハツカネズミ(右)

 

ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの外見での見分け方

まずハツカネズミは他の2種類に比べて明らかに小さいです(体長5cm~10cm程度)。そのためすぐに判別がつきます。

ドブネズミとクマネズミでは、基本的にドブネズミのほうが大きく育つのですが、20cm前後の個体であった場合は大きさだけではどちらなのか判断できません。体の特徴で見分けるしかありません。ドブネズミのほうが体のラインがずんぐりしていて、特に腰周りがしっかりとしています。また、ドブネズミの目は小さく、鼻先は丸め、尻尾もやや短めです。

そして見分ける最大のポイントは耳。ドブネズミの耳は小さく耳の中が複雑な構造になっていますが、クマネズミの耳は非常に大きく、逆に耳の中はドブネズミにくらべると非常に単純な構造になっています。

 

ドブネズミの身体的特徴

ドブネズミは、体長は18cm~30cm程度の大きさで、尻尾の長さまで含めるとなんと50cmに迫ります。これは若い子猫に相当するサイズです。『ネズミ=小動物』の先入観を持っていると、実際にドブネズミと退治したときには唖然となってしまうことでしょう。

体色は基本的には黄色がかった灰色ですが、住んでいる環境により汚れなどでもっと黒ずんで見えることが多いです。腹部は体色が薄くなっていて個体によっては真っ白に近い色をしている場合もあります。

ドブネズミの身体的特徴

 

ドブネズミの生息地

ネズミというと、天井裏をコトコト音を立てて走り回るイメージがありますが、実はあれはクマネズミだけで、ドブネズミはジメジメした水場を好みます。ドブネズミは高い場所には侵入せず、床下、下水道、地下鉄構内などを住処にしていることが多いです。意外かもしれませんが、水の中には積極的に入り、泳ぎもかなり早いです。

住宅街など人間のそばにだけ住んでいるイメージもありますが、実際には海岸や河川、水田、湿地帯の茂みなどにも多く生息しています。また、寒さに非常に強いため、雪の下の草木の隙間や冷凍倉庫の中でも平気で活動を続けることができます。

 

ドブネズミの生活と繁殖

ドブネズミは寒さに強い性質もあって、冬眠などはせずに年中ずっと活動を続けています。1日の活動ピークは朝方と夕方と言われていますが、夜間であればどの時間帯でもドブネズミは活動をしています。

生殖活動が積極的に行われるのは春と秋。3週間程度の妊娠期間をもって、1度に10匹程度の子供を産みます。生まれた子供は9週間程度で性成熟し、次の子供を産むようになります。成獣の寿命はだいたい2年程度です。

ドブネズミ子供
↑ドブネズミが授乳している様子

 

ドブネズミの食事と天敵

ドブネズミは肉食寄りの雑食性です。自然界では穀物、草木、種子を食べたり、昆虫、ミミズ、魚介類を食べたり。人家の近くでは生ゴミを漁って人間が残した食物を食べたりもします。人間が食べるものであれば何でも好き嫌いなく口に入れます。また相手が小型の動物であれば自ら狩りを行うこともあり、攻撃性は非常に高いです。ドブネズミ同士で共食いをすることもあります。

ドブネズミの食性について最近ニュースになったのは、福岡県の沖ノ島。沖ノ島には天然記念物に指定されている野鳥が多く生息していますが、本来生息していなかったはずのドブネズミが侵入し繁殖してしまい、野鳥の雛や卵を襲うようになってしまいました。その食害が問題になり対策に追われています。

逆に天敵は、大型の鳥類、猫、イタチ、ヘビなど。しかしドブネズミはその体格が非常に大きいため、捕食者もそれなりに大型の個体のみに限られてきます。

ドブネズミの天敵

 

ドブネズミの人間に対する害

1.衛生面での問題

ドブネズミは下水などの湿った場所を好み、さらに死肉も食べるために、衛生状態は最悪です。ネズミが放置してあった食物をかじったり、キッチンの上を走り回ったり、寝ている間に人間を咬んだり、そういったことで人間がネズミの持っている病原菌に接触してしまうことがあります。

サルモネラ菌、レプトスピラ菌、ペスト菌、鼠咬症など、発症するとかなり重症になる病気も存在するため、ネズミぐらいと馬鹿にすることはできません。

 

2.家財の損傷

ドブネズミは際限なく前歯が伸び続ける生き物なので、常に何か固いものをかじって歯を削っています。
木材はもちろんのこと、無機物である壁材、プラスチック、何でもかじって破壊してしまいます。
コードなどの配線をかじられて、それが原因で停電や火事になるケースもあります。

 

3.ペットへの攻撃

ドブネズミは他の種のネズミに比べて、非常に気性が荒く獰猛です。ドブネズミより体格が小さいハムスターやインコなどのペットは攻撃の対象になる恐れがあります。また寝ている人間に近づいて噛み付くような事例も多く報告されています。

また、ドブネズミに床下を寝床にされて糞や食物を撒き散らされると、ゴキブリなど他の衛生害虫の繁殖を許してしまう可能性も高まってしまいます。

ドブネズミ
↑人間が出したゴミを漁るドブネズミ

 

ドブネズミの侵入を防ぐための対策

さて、ようやく本題です。

まずはドブネズミの屋内への侵入経路をチェックしましょう。家の周囲をチェックして、壁材の破損箇所などのドブネズミが侵入できそうな隙間を探し、もしそういった隙間があった場合は、セメントや補修材で修復しましょう。ドブネズミの場合は比較的床に近いような低い場所に侵入経路があることが多いです。

あと可能性が高いのは下水からのルート。排水管の内側はネズミやゴキブリの侵入を防ぐために通常「返し」がついていますが、盲点なのは配水管の外側を這って登ってくるケース。そこに隙間がある場合はガムテープなどで完全に塞ぎましょう。

ドブネズミ侵入経路
↑写真のような板を製作するのも有効な手段です(ただし分厚いモノでないと食い破られます)

 

もしドブネズミの侵入を許してしまったら

ゴキブリやムカデなどの害虫は、人間の手で完全に侵入経路を断てばそれで大丈夫なのですが、鋭い歯を持つドブネズミは、自らの力で穴を作って侵入してくることもあり得ます。侵入を100%完全に防ぐというのはなかなか難しいことです。家屋内にドブネズミが侵入した痕跡を発見した場合は、速やかに以下のような対処が必要になります。

 

1.ネズミ用の忌避剤を使用する

侵入経路になっていると思われる場所に設置することで、ネズミがその場所を嫌がって寄り付きにくくなります。スプレータイプのものも市販されていて、どちらでも効果が期待できます。ただし時間が経つと効果が薄れてしまうので、定期的な再設置が必要になります。

 

2.ネズミ捕獲用のワナを設置する

ネズミを物理的に捕獲する手段として使用します。ゴキブリホイホイの巨大版のような粘着シート、箱状のマウストラップなどが市販されています。ネズミの通り道となっていると思われる場所に設置しましょう。ただしドブネズミは体が大きくてかなり力が強いので、それぞれのトラップはしっかりと固定しておかないと暴れて逃げられてしまいます。もし捕獲に成功したときも、駆除の際に不用意に手を出すと咬まれる恐れがありますので油断は禁物です。

 

3.ネズミ用の毒剤を設置する

「エンドックス」という名前の薬剤で、ネズミ退治には昔から定番の毒剤です。ネズミの通り道になっている場所に多めに散布しておけば、体に付着した薬剤をネズミが毛繕いすることで自ら体内に取り込み効果を発揮します。また、エサとなる食べ物にふりかけておいたり、ダンゴを作ったりして、直接ネズミの体内に取り込ませることも可能です。ただしこの毒には即効性はないため、効き目を実感するには数日間の継続使用が必要になります。散布した薬剤が減っていたら注ぎ足して、様子を見てみてください。

 

4.専門業者に依頼して駆除してもらう

忌避剤、トラップ、毒剤を使っても状況が改善されない場合は、すでに多少の対策が意味をなさないほどに大量繁殖を許してしまっている、もしくは薬剤に抵抗力を持ったスーパーラットが生まれてしまっている、などの可能性が考えられます。そうなってしまった場合は素直に専門業者に依頼しましょう。数万円単位の費用がかかってしまいますが、自分の手に負えないときは仕方がありません。

ドブネズミとドブネズミのふん

ツキノワグマ

ツキノワグマ

ツキノワグマとは?

ツキノワグマ(月輪熊)は、ネコ目クマ科クマ属に属する哺乳類です。日本では北海道にヒグマだけが、そして本州、四国にこのツキノワグマだけが生息しています。完全に生息域が分離されているので、遭遇してどちらの種か迷うことはないでしょう。

昔は九州でも生息が確認されていたんですが、近年は確かな目撃情報が確認できず、残念ながら2012年に九州のツキノワグマは絶滅と認定されてしまいました(2015年10月に福岡と佐賀の県境でクマらしき目撃情報があって、現在調査中です)。西日本でもその個体数は激減していると言われています。

月輪熊

 

ツキノワグマの身体的特徴

ツキノワグマは体長は100~180cm程度、体重は50kg~から150kg程度です。クマの種類の中ではツキノワグマは比較的小さい種類だと言えるでしょう。体格もヒグマなんかに比べると幾分スタイリッシュな個体が多いです。特に若い個体はそれが顕著で、私達が持っていたクマとのイメージの違いに少し驚くかもしれません。

なんといってもツキノワグマのその最大の特徴は胸についている三日月形の模様です。どうしてこんな模様が付いているのかは理由は確かではありませんが、ツキノワグマだと識別するには一番の特徴だと言えるでしょう。たまにこの三日月の模様がない個体なんかも現れるようですが、その場合は体毛の色で識別。ツキノワグマはクマの仲間の中でも珍しく、体毛が完全に真っ黒な色をしています。

ツキノワグマの身体的特徴

 

ツキノワグマの食性

クマというと川でシャケを取っているイメージが強いですが、それはヒグマの話。じゃあシカやウサギなどの野生の哺乳類を襲って肉を食べているのかと言われればそうでもありません。

実はツキノワグマのメインの食事は植物。ドングリ、ブナ、クリ、ヤマブドウなどを主な栄養源として摂取しています。あとは蛋白源としてアリやハチの巣を探して、巣をほじくりながらそれを食べたりします。大きな体をしていますが、意外にも食べ物はカワイイもので(笑)

あとは動物の死骸なんかも好んで食べます。「クマに会ったら死んだふりだ!」なんてよく言いますが、死肉を食べるクマの前では、死んだふりがいかに愚かなことかがわかりますね。私はごちそうです、と言って自分を差し出しているようなモンです(笑)

そして問題なのは人間の出すゴミも食べること。ツキノワグマは雑食性が高いので、人間が食べ残したものは何だって食べちゃいます。そのためわざわざ人里に下りてきてゴミ集積場を漁ったりなんてこともしばしば。近年ではそれが大きな問題になっていて、ニュースなんかでもよく取り上げられています。

ツキノワグマの食性

 

ツキノワグマの生息地

前述したとおり、日本のツキノワグマの分布は本州と四国です。ヒグマと違って平地や草原などは好まず、落葉広葉樹林が生い茂った山の中だけに住んでいます。昼間は樹木の穴や、洞窟の中などでじっとしていることが多く、朝夕や夜に積極的に行動して餌を探しに動くことがわかっています。

ツキノワグマはあまり縄張り意識を持っておらず、餌が豊富な場所を求めて広範囲に移動を続けます。そのため餌が豊富な場所ではたくさんの個体が集まっていたりすることも。また、この行動力の高さがために人里までやってきてしまい、人間と遭遇して双方にとって不幸な事故が引き起こされてしまうケースもあります。

ツキノワグマ

 

冬ごもりと繁殖

ツキノワグマは知っての通り、冬になると穴にこもって眠るように過ごします。よく冬眠なんて言い方をしますが、クマの場合は仮死状態になるというよりはじっとしているだけなので、どちらかというと「冬ごもり」という言葉のほうが正しいと言えるでしょう。

冬ごもりの期間はその地域の気候にもよりますが、だいたい12月から4月ぐらいまでの間。半年近く穴の中で眠っていると考えると、彼らは意外にのんびりした人生を送ってるのかもしれませんね(笑) ああ、なんてうらやましいスローライフ。

夏のうちに交尾を済ませて妊娠したメスはこの冬ごもり期間中に穴の中で出産します。一度に生まれる子供はだいたい2匹程度。母親グマは3ヶ月程度授乳したあと、2年ほど一緒に子供と行動し、その後子供は自立していきます。

ツキノワグマのリスク回避と対策

 

ツキノワグマのリスク回避(ヒグマとほぼ共通)

やっと本題です。ツキノワグマは基本的に臆病な生き物ですし、決して好戦的ではないです。ですが、人間にとって安全な生き物ではないというのは間違いありません。

まずは何より出会わない努力をしましょう。

人間もツキノワグマと遭遇したくないですが、それは向こうもそうです。できればツキノワグマのほうも人間と遭遇したくないと思っています。まずは不必要にクマが出没するような場所に立ち入らないことです。
登山、ピクニック、山菜取りなど、山に立ち入る理由はいろいろあるとは思いますが、過去に熊騒動があったような場所はやはり避けるべきです。特に雪が残るような春先の山は、冬ごもりの穴に気付かずに近寄ってしまうケースがあって最悪です。

どうしてもクマと遭遇する可能性のある場所に入らなければいけないときには、大人数で騒ぎながら行動する、鈴や笛などの音が出るものを身に着けるなどをして、遠くのクマにこちらの存在をわからせるようにしましょう。定期的に棒で木を叩きながら進むのも良い手です。そうすればクマのほうから距離をとって離れていきます。

ちなみにラジオは駄目です。雑音を垂れ流しっぱなしのものは逆にクマの気配に気付けなくなるためかえって危険です。こちらがいつでも音を出せて、逆にいつでも静まってまわりを伺えるということが、
遭遇リスクを下げることに繋がります。

ツキノワグマ

 
それでも万一遭遇してしまった場合、まずは落ち着くことです。

はっきりいって遭遇してしまったら100%の安全策というものは存在しません。しかし慌ててパニックになってもツキノワグマを刺激してしまい状況を悪化させるだけです。まずは落ち着いて冷静に状況をみて、できることをしましょう。

距離がまだ何十メートルも離れている場合は、ツキノワグマから視線を逸らさずに後ずさりして距離をとります。クマは背を向けて逃げる獲物を追いかける習性があります。この習性はとてつもなく強く、うかつに背を向けて逃げたりすればほぼ間違いなく追いかけられます。ちなみにツキノワグマの走る速度は50km/h以上で、あのウサイン・ボルトより速いです。間違いなく追いつかれて、間違いなく背中から襲われて重傷必至です。

ゆっくりと後ずさりしつつ、武器の準備もしなければいけません。クマ対策の唐辛子スプレーなどを持っているなら手元にその準備を、ないならば何か固くてリーチのある、武器になりそうなものを用意します。どうしても何も見つからなければしかたありません、そのへんの石でもないよりはマシです。

ただしこのとき威嚇的なことは一切しないように。あくまで距離をとって逃げ切るのが最良手で、武器の用意はあくまで最悪の展開への備えです。

それでもまだクマの方からこちらに近寄ってくるようなら、持っている食べ物やリュック等を手放します。
クマがこれらに興味を持った場合はそのまま難を逃れることができるケースがあるのでそっと地面に置いて遠ざかるようにしましょう。

ツキノワグマ

 
うまく逃げ切れたときはいいのですが、相手がこちらに積極的に近づいてきてしまったり、もしくは曲がり角でいきなりバッタリ出会ってしまったりして、数メートルしか距離がない場合。この事態になってしまったら、覚悟を決めて戦いましょう。

そんなバカなと思うかもしれませんが、この状況になった場合に一番生存率が高いのが「戦うこと」です。この状況から走って逃げ切るのは100%不可能ですし、死肉を食べるツキノワグマに対して死んだふりをするのは何の対策にもなりません。この状況から無事に生還した人のほとんどは戦っています。

戦い方ですが、もちろん身体能力では人間はクマに絶対に勝てません。どんなにパンチやキックを浴びせようが、棒で殴ろうが、クマの分厚い筋肉の前には無力です。クマとの戦いで狙うのは「倒すこと」でなく、「戦意喪失させて逃げてもらうこと」になります。

なので狙いは急所の鼻先一点。鼻先に何か強烈な一撃をお見舞いできれば、ツキノワグマは未知の痛みに驚き退散していくことでしょう。クマと対峙するのは相当な恐怖ですが、勇気を振り絞って攻撃してください。覚悟を決めて手を出さなければこちらの生存確率が低くなるだけです。撃退スプレー、ナタ、杖の類を持っていれば相手の前足の攻撃より先にこちらの攻撃を叩き込めるはずです。

どうしてもそういったリーチのある武器が見つからない場合は、落ちている石を持ったり、腕時計を拳につけたり、カギを刃が拳から出るように握り込んだりして、それで鼻先を狙います。より接近を許すことになるので怪我をする危険が高くなりますが、多少怪我をしてでもとにかく鼻先に攻撃を叩き込めれば命を落とすことはなくなります。

ツキノワグマ

 
そして究極に最悪の事態、突然の奇襲を受けてしまった場合です。さきほどの武器による攻撃が失敗してしまったときも同様です。

覆いかぶされたり噛み付かれたりしてしまいますが、とにかく抵抗してください。じっとガードしていても殺されるのを待つのみです。とにかく手や足を、ツキノワグマの目や鼻があるであろう位置に全力で出し続けてください。一発でも入れば相手はビックリして逃げていく可能性があります。この状況になっている時点で怪我を負うのは必至ですが、追い払える可能性だけは放棄しないこと。

 

ツキノワグマの習性豆知識

ツキノワグマの習性を知識として知っておくと不用意に襲われる事態を避けることができます。ここではいくつかその習性を紹介しておきます。

 

1.子供のツキノワグマを守る母熊は危険

これはツキノワグマに限らず大抵の哺乳類に言えることです。母グマは自分の子を守るために、近寄るものを全て敵とみなします。小さいツキノワグマを見つけたときには「わぁ、可愛いー♪」なんてのん気なことを言わずに、近くに「敵意むき出しの母親がいる」と思って警戒するようにしましょう。

 

2.火を恐れない

獣は火を恐れるって知識は間違ってはいませんが、クマに関しては例外です。キャンプ時に焚き火のそばにある荷物を平気で奪っていった事例もありますので、クマ対策として火を使うのはおすすめできません。

 

3.木登りはお手の物

ツキノワグマは木登りが非常に得意です。なので木の上に登ってもツキノワグマは追いかけて登ってきます。しかしツキノワグマに遭遇したときの逃げ場所として木の上が絶対ダメってわけではありません。先に木の上に登れば、下から迫るクマをこちらは靴を履いた足で迎撃できるわけですし、クマのほうも木を登りながら同時に前足で攻撃できるほど器用ではありません。ただしどうやっても持久戦になってクマとのガマン比べになってしまうのは避けられませんが・・・。

ツキノワグマの生態

 

動物園やクマ牧場で楽しむ

ツキノワグマは全国で大抵の動物園で飼育されています。ヒグマより小型で飼育しやすく、集団生活にもすぐに適応するため動物園としても楽なんだそうで。クマ牧場のようにクマに特化して飼育されている施設もあり、そういう場所では餌を与えることもできます。人に飼いならされたツキノワグマはとても人に慣れていて、餌を持ったお客を見つけると、こちらに手を振ったり、両手を差し出して「ちょうだい」のポーズをとったりと愛嬌を振りまくほどです。野生のときとは違ったこういう姿のツキノワグマもなかなか魅力的。

あと動物園で集団で飼われているツキノワグマは社会性を持つことも知られています。必ずボスとなるツキノワグマが現れて、ケンカの仲裁をしたり、見回りをしたりするそうです。一匹狼での行動が多い野生の条件下ではほとんど確認できていない習性です。環境が変わってこういうのが見えるってなんだか面白いですね。

 
広島県安佐動物園のツキノワグマ、クラウド君の高速棒回し動画:

ヒグマ

ヒグマ

ヒグマとは?

ヒグマ(羆)は、ネコ目クマ科クマ属に属する哺乳類です。体長はクマの中でもかなり大型に育つ種で、成獣では500kgを越える個体も記録されています。日本に生息する陸上の哺乳類の中ではダントツで大きな生き物といえるでしょう。

羆

 

ヒグマの身体的特徴

日本にはツキノワグマとこのヒグマ(正確にはエゾヒグマという亜種)が生息しています。ツキノワグマは本州と四国の全域に広く生息していますが、ヒグマは北海道にしか生息していません。完全に生息地が分かれているので、遭遇した場所でどちらのクマか判断してしまって結構です。北海道で出会えばヒグマ、それ以外で出会えばツキノワグマです。

見た目の違いも明白で、ツキノワグマはヒグマにくらべてかなり小さく、最大でも2メートルに届かないほど。またツキノワグマの体毛は真っ黒で胸元に半月型の特徴的な模様があって非常にわかりやすいです。まぁ、ツキノワグマの詳細についてはまた別のページで。

ヒグマとツキノワグマ
↑ツキノワグマ(左)とヒグマの若い個体(右)

 
ヒグマの全長はおよそ2~3m、体重は200kg~500kgです。これはオスのサイズで、メスは全体的にもうひとまわり小さくなります。

しかし食事や環境によってかなり大きさに差が出ることがわかっており、アラスカの食糧豊富な土地では1,000kgを越える巨大なヒグマが発見された例もあります。1,000kgってことは、軽トラック(750kg)よりも遥かに重いってことです。そんなサイズのクマが存在しうるって恐ろしい話だ(汗)

 

ヒグマの食性

クマというと川でシャケを取っているイメージが強いですが、実は雑食性で、割合的には木の実や草本を食べていることのほうが多いです。植物は比較的安定して手に入りますし、栄養価・便通の面でもクマにとっては欠かせない餌。

もちろんヒグマは動物性の餌も狙っていきます。ターゲットは哺乳類、鳥類、魚類、昆虫、ザリガニなど。

しかしここでも意外なのは、昆虫を食べる割合がかなり高いこと。ヒグマはアリ、ハチなどが好物で積極的に巣を探しにいきます。こういった昆虫たちは集団でコロニー(巣)を形成していることが多いため、一度のチャンスで多くの餌を手に入れることができるわけです。しかしあの巨体でアリなんか何百匹食べたってお腹満たされないような気もしますが(笑) 単純に空腹を満たすためというよりは、味的に好物だからという説が強いようです。

あとこれも意外な知識なんですが、ヒグマは積極的に生きている哺乳類・鳥類を狙いません。どちらかというと死肉を食べるケースが多く、腐敗が進んだ屍肉食なんかも食べてしまいます。一般的には強大な捕食者のイメージが強いのでこれはちょっとビックリ。足が速くて力もあるクマが狩りが下手とは思えませんが、この雑食性は、おそらく長い生活の中でより安定して餌にありつけるように進化していった結果なんだと思います。

ただし、これは通常のヒグマの食事の習性です。近年のエゾシカの急増に伴い、生きているエゾシカを狙うヒグマも増え始めました。そして一度新鮮な肉の味を覚えてしまったヒグマはそれ以降、積極的に狩りを行うようになります。これはエゾシカに限らず人間においてもそうで、一度人間の味を覚えてしまったヒグマは大変危険です。

ヒグマの習性と生態

 

ヒグマの生息地

前述したとおり、日本のヒグマの生息地は北海道だけです。本州でもヒグマの化石が見つかるため昔は本州以南にも住んでいたようですが、現在では確認されていません。

他種のクマと同じく森林を好みますが、原野も好むのがヒグマの大きな特徴。これは山林にある固い葉よりも、原野に生える柔らかい草花を好むためと言われています。知床の大きな原野で伸び伸びと過ごす姿には威厳とともに愛嬌さえ感じますね。これからも守っていかなければいけない景色。

しかし近年問題になっているのは人間とクマの生活圏が重なってきていることです。人間側は開発と称して山に近寄っていき、クマは異常気象による餌不足で里に近寄っていきます。そのため人間とクマが出会ってしまう不幸が非常に多くなり、それは双方に不幸をもたらしています。人間を恐れない「新生代クマ」と呼ばれる若いクマも増え始めているため、クマと付き合っていかなければいけない地域の人々にとっては深刻な悩みになっています。

追記:
餌不足で人里にヒグマが出没するっていう話をよくニュースなどでやっていますが、最近ではどうもそうではないのではないかという説が出てきました。人里にやってくるヒグマは餌不足でガリガリかと思いきや、みな丸々と太っているらしいのです。山の餌が不足しているのではなく「人里のほうが餌を確保しやすい」と思われているのではないでしょうか?畑では必ず美味しい野菜や果物が得られますし、ごみ置き場を漁れば人間の食べ残しが見つかります。ヒグマたちが賢い生き方を選択し始めた結果がいまの状況なのでは、という意見が増え始めています。

ヒグマ

 

冬ごもりと繁殖

ヒグマは知っての通り、冬になると穴にこもって眠るように過ごします。よく冬眠という言い方をしますが、体温を下げて仮死状態のようになる冬眠に比べるとヒグマの眠りは浅く、あくまで穴の中でじっとしているだけという表現のほうが近いと言えます。そのため、ヒグマの場合は冬眠ではなく、冬ごもりという言い方をされる場合が多いです。

ヒグマの発情期は初夏で、妊娠をした雌熊は冬ごもりをしているその穴の中で出産します。一度に産むのは1~3匹の赤ちゃんで、体重は400g程度しかありません。赤ちゃんはしばらくの間は視力も聴力もないため、穴の中で母親熊は母乳だけで育て続けます。そして春になると穴から出てきてそのまま生活を共にし、1~2年後には子供は親離れをして独立します。

ちなみに幼少期のヒグマにとって一番の天敵は成獣のヒグマ。ヒグマは共食いをします。子供を連れた母熊は絶対に他のヒグマを近づけることをしません。同族が一番の天敵ってなんだか悲しいですね。自然界だと当たり前の弱肉強食ルールなのかもしれませんが。

ヒグマ対策

 

ヒグマのリスク回避

やっと本題です。ヒグマは基本的に臆病な生き物ですし、決して好戦的ではないです。ですが、人間にとって安全な生き物ではないというのは間違いありません。

まずは何より出会わない努力をしましょう。

人間もヒグマと遭遇したくないですが、それは向こうもそうです。できればヒグマのほうも人間と遭遇したくないと思っています。まずは不必要にクマが出没するような場所に立ち入らないことです。登山、ピクニック、山菜取りなど、山に立ち入る理由はいろいろあるとは思いますが、過去に熊騒動があったような場所はやはり避けるべきです。特に雪が残るような春先の山は、冬ごもりの穴に気付かずに近寄ってしまうケースがあって最悪です。

どうしてもクマと遭遇する可能性のある場所に入らなければいけないときには、大人数で騒ぎながら行動する、鈴や笛などの音が出るものを身に着けるなどをして、遠くのクマにこちらの存在をわからせるようにしましょう。定期的に棒で木を叩きながら進むのも良い手です。そうすればクマのほうから距離をとって離れていきます。

ちなみにラジオは駄目です。雑音を垂れ流しっぱなしのものは逆にクマの気配に気付けなくなるためかえって危険です。こちらがいつでも音を出せて、逆にいつでも静まってまわりを伺える状態を作っておくということが、遭遇リスクを下げることに繋がります。

ヒグマ

 

それでも万一遭遇してしまった場合、まずは落ち着くことです。

はっきりいって遭遇してしまったら100%の安全策というものは存在しません。しかし慌ててパニックになってもヒグマを刺激してしまい状況を悪化させるだけです。まずは落ち着いて冷静に状況をみて、できることをしましょう。

距離がまだ何十メートルも離れている場合は、ヒグマから視線を逸らさずに後ずさりして距離をとります。クマは背を向けて逃げる獲物を追いかける習性があります。この習性はとてつもなく強く、うかつに背を向けて逃げたりすればほぼ間違いなく追いかけられます。

ちなみにヒグマの走る速度は50km/h以上で、あのウサイン・ボルトより速いです。間違いなく追いつかれて、間違いなく背中から襲われて重傷必至です。

ゆっくりと後ずさりしつつ、武器の準備もしなければいけません。クマ対策の唐辛子スプレーなどを持っているなら手元にその準備を、ないならば何か固くてリーチのある、武器になりそうなものを用意します。どうしても何も見つからなければしかたありません、そのへんの石でもないよりはマシです。

ただしこのとき威嚇的なことは一切しないように。あくまで距離をとって逃げ切るのが最良手で、武器の用意はあくまで最悪の展開への備えです。

それでもまだクマの方からこちらに近寄ってくるようなら、持っている食べ物やリュック等を手放します。クマがこれらに興味を持った場合はそのまま難を逃れることができるケースがあるので、そっと地面に置いて遠ざかるようにしましょう。

ちなみにこのときに手放したリュックや食べ物は、「後でクマの脅威が去ってから回収しよう」などとは間違っても考えてはいけません。後のヒグマの習性の項でも記述していますが、これは極めて危険な行為です。一度クマに差し出した物は必ずあきらめてください。

ヒグマ

 

うまく逃げ切れたときはいいのですが、相手がこちらに積極的に近づいてきてしまったり、もしくは曲がり角でいきなりバッタリ出会ってしまったりして、1~2メートルしか距離がない場合。この事態になってしまったら、覚悟を決めて戦いましょう。

そんなバカなと思うかもしれませんが、この状況になった場合に一番生存率が高いのが「戦うこと」です。この状況から走って逃げ切るのは100%不可能ですし、死肉を食べるヒグマに対して死んだふりをするのは何の対策にもなりません。この状況から無事に生還した人のほとんどは戦っています。

戦い方ですが、もちろん身体能力では人間はクマに絶対に勝てません。どんなにパンチやキックを浴びせようが、棒で殴ろうが、クマの分厚い筋肉の前には無力です。クマとの戦いで狙うのは「倒すこと」でなく、「戦意喪失させて逃げてもらうこと」になります。

なので狙いは急所の鼻先一点。鼻先に何か強烈な一撃をお見舞いできれば、ヒグマは未知の痛みに驚き退散していくことでしょう。クマと対峙するのは相当な恐怖ですが、勇気を振り絞って攻撃してください。覚悟を決めて手を出さなければこちらの生存確率が低くなるだけです。撃退スプレー、ナタ、杖の類を持っていれば相手の前足の攻撃より先にこちらの攻撃を叩き込めるはずです。

どうしてもそういったリーチのある武器が見つからない場合は、落ちている石を持ったり、腕時計を拳につけたり、カギを刃が拳から出るように握り込んだりして、それで鼻先を狙います。より接近を許すことになるので怪我をする危険が高くなりますが、多少怪我をしてでもとにかく鼻先に攻撃を叩き込めれば命を落とすことはなくなります。

ヒグマ

 

そして究極に最悪の事態、突然の奇襲を受けてしまった場合です。さきほどの武器による攻撃が失敗してしまったときも同様です。

覆いかぶされたり噛み付かれたりしてしまいますが、とにかく抵抗してください。じっとガードしていても殺されるのを待つのみです。とにかく手や足を、ヒグマの目や鼻があるであろう位置に全力で出し続けてください。一発でも入れば相手はビックリして逃げていく可能性があります。この状況になっている時点で正直言って限りなく絶望的な状況には間違いありませんが、最後の可能性だけは放棄しないこと。

 

ヒグマの習性、豆知識

ヒグマの習性を知識として知っておくと不用意に襲われる事態を避けることができます。ここではいくつかその習性を紹介しておきます。

 

1.自分の獲物への執着心が異常に強い

ヒグマは自分が手に入れた食料に対して「これは俺の物、奪おうとする者は敵」という意識が非常に強いです。道端に小動物の食べ残しなどがあったら絶対に近づかないでください。このときヒグマは敵意剥き出しで襲ってきます。福岡大のワンゲル部が襲撃された事件はこの習性を知っていれば防げたであろう事故です。あの事件のときは、一度ヒグマに奪われたリュックを持ち帰ったために執拗に狙われてしまう結果になりました。一度奪われたリュックは、ヒグマにとってはすでに「自分のもの」になっていて、それを回収して持って帰る行為はまさにヒグマの神経を逆撫でする自殺行為だったのです。

 

2.子供のヒグマを守る母熊は危険

これはヒグマに限らず大抵の哺乳類に言えることです。母グマは自分の子を守るために、近寄るものを全て敵とみなします。小さいヒグマを見つけたときには「わぁ、可愛いー♪」なんてのん気なことを言わずに、近くに「敵意むき出しの母親がいる」と思って警戒するようにしましょう。

3.火を恐れない

獣は火を恐れるって知識は間違ってはいませんが、ヒグマに関しては例外です。過去にヒグマの襲撃を恐れた事例ではみな火を一生懸命に炊いて難を逃れようとしましたが、どれも効果は全くなく、無残な結果をもたらすことになりました。ヒグマの前に火は無力です。

 
ヒグマの習性を実験する動画:

 

動物園やクマ牧場で楽しむ

ヒグマは全国で大抵の動物園で飼育されています。クマ牧場のようにクマに特化して飼育されている施設もあり、そういう場所では餌を与えることもできます。人に飼いならされたヒグマはとても人に慣れていて、餌を持ったお客を見つけると、こちらに手を振ったり、両手を差し出して「ちょうだい」のポーズをとったりと愛嬌を振りまくほどです。野生のときとは違ったこういう姿のヒグマもなかなか魅力的。

あと動物園で集団で飼われているヒグマは社会性を持つことも知られています。必ずボスとなるヒグマが現れて、ケンカの仲裁をしたり、見回りをしたりするそうです。一匹狼での行動が多い野生の条件下ではほとんど確認できていない習性です。環境が変わってこういうのが見えるってなんだか面白いですね。

ヒグマ

 

ヒグマによる大きな事件 >

1.三毛別羆事件

1915年12月に北海道苫前郡苫前村で発生したヒグマによる大量殺傷事件です。日本では最大の獣害事件であるとされています。Wikipediaの事件描写が怖すぎるということでも有名になりました。

12月に冬眠し損ねてしまった大きなヒグマが次々に村の民家を襲撃し、重軽傷者多数、最終的に妊婦や子供を含む7人もの死者が出ました。ヒグマは体長270cm、体重340kgに及ぶ大物で、たった数日間で何度も何度も村に姿を現し、次々に住民を襲撃して食べてしまいました。退治のために組織された討伐隊はなんと600人規模で、ヒグマは最初の事件発生から5日後にマタギの手によって射殺されました。

三毛別羆事件
↑事件後に現場に再現されたヒグマの模型。家屋の入り口と比べるとその大きさがわかる。

 

②石狩沼田幌新事件

1923年8月に北海道雨竜郡沼田町で発生しました。犠牲者は5人で、他3名が重軽傷を負っており、三毛別羆事件に次いで二番目の大きな獣害事件です。当時ちょうど開拓の最中であったこの地域では、住民とヒグマの接触事件が非常に多く、この事件はたまたま山中で羆の餌場に人間が近づいてしまったことで発生してしまったと言われています。

村の祭りが終わったその夜、深夜の山中を家路につく一行をヒグマが襲撃しました。男性1人が死亡、もう1人の男性が生きたまま地中に埋められてしまいました。ヒグマから逃げた一行は近くの民家に立てこもりましたが、追ってきたヒグマが再び襲撃。女性1人が連れ去られて食い殺されてしまいました。翌日には単身で退治に向かった猟師が返り討ちに合い死亡。その翌日に300人規模で結成された討伐隊が山に入りました。山中でのヒグマとの戦いにより1人の男性が犠牲になりましたが、ヒグマは無事退治されました。

石狩沼田幌新事件
↑沼田町郷土資料館で保存されている当該ヒグマの毛皮

 

3.福岡大学ワンダーフォーゲル同好会羆襲撃事件

1970年7月に北海道の日高山系カムイエクウチカウシ山で発生しました。登山にきていた福岡大学のワンダーフォーゲル同好会5人が次々に襲われ、最終的に3人が死亡しました。

一度ヒグマにリュックを漁られた後、そのリュックを持って帰ったしまったため、ヒグマに『自分の獲物を奪われた』という感覚を与えてしまいました。そのため彼らのパーティーは何度も何度も襲撃を受けることになってしまったのです。発生から3日後、地元のハンターの手によってこのヒグマは射殺されました。

カミツキガメ

カミツキガメ

カミツキガメとは?

カミツキガメは、爬虫綱カメ目カミツキガメ科カミツキガメ属のカメ、またはその総称です。

よく混同されてしまいがちな「ワニガメ」も同じカミツキガメ科の仲間です。カミツキガメ科のワニガメ、カミツキガメ科のカミツキガメ。ちょっとややこしいですね(苦笑)

元々は日本国内には生息していなかった外来種で、日本には1960年頃からペットとして輸入されるようになりました。しかし子供の頃は可愛くて扱いやすいカミツキガメは、成長すると体格が大きくなる上に攻撃性がかなり強くなります。近年では飼育放棄された個体が野生化して繁殖してしまう事例が報告されており、問題になっています。

カミツキガメ

 

カミツキガメの身体的特徴

カミツキガメは、甲長が最大で50cm程度の大きさになります。甲長が80cmにも及ぶワニガメに比べるとずいぶん小さいんだなというイメージを持つかもしれませんが、カミツキガメは尻尾が大きく、首もかなり長く伸ばすことができるので、鼻先から尻尾の先までの最大全長は100cm近くに及ぶ場合もあります。やはり大型のカメには違いありません。

甲羅は基本的には滑らかな曲線型ですが、縦方向に三本の薄い隆起線があります。ワニガメは甲羅のキールが強くてトゲ状の甲羅をしているので、カミツキガメとワニガメは甲羅の形状を見れば容易に区別することができます。

腕は太く、肩まわりもかなりガッシリとしています。そして非常に発達した爪も大きな特徴。主に水底を這うように行動するカミツキガメは、この爪を使って物を掻き分けるようにして餌を探します。

あと、前述しましたがカミツキガメは尻尾が通常のカメに比べて非常に長いです。そのため調査の際などには、地面に残った尻尾の痕跡と足跡の間隔を比較すれば、それがカミツキガメのものであるかどうかの判別が可能です。ちなみにオスの個体のほうが大きく立派に育つ傾向にあります。

カミツキガメの身体的特徴

 

カミツキガメの生活と繁殖

カミツキガメはほぼ水棲で、一生のほとんどを沼や池などの水がある場所で過ごします。中でも水底に泥が溜まっていて、石・流木・水草などの遮蔽物が多い環境を特に好みます。 水の流れが早い場所、もしくは水が澄んだ場所は逆に好まないため、渓流などで発見されることはあまりありません。

気温の変化には強いほうで、原産地であるアメリカ全ての場所でその気候に対応できています。そのためもし日本のどこで捨てられても生きていくことができてしまいます。この適応能力の高さが、野生下繁殖問題の大きな原因に。

繁殖期はこれといって決まっておらず、冬以外であればいつでも交尾行動をとります。産卵は初夏あたりに行われることが多く、一度に20~30個程度の卵を産みます。卵の大きさはピンポン玉をひとまわり小さくした程度で、だいたい3ヶ月程度で孵化します。

生まれた子ガメが性成熟するまでには約5年。寿命については検証データが少ないためなんともいえませんが、80年は生きるのではないかと考えられています。

生まれたばかりのカミツキガメとカミツキガメの卵の大きさの比較
↑生まれたばかりのカミツキガメ(左)と、カミツキガメ・ワニガメ・ピンポン玉の大きさの比較(右)

 

カミツキガメの主食と天敵

カミツキガメは雑食性です。動物性であれば、昆虫、カエル、ヘビ、魚、ザリガニ、鳥類、小型哺乳類、植物性であれば、茎、葉、花、果実、藻など、本当に口に入るものは何でも選ばずに食べています。

逆に天敵となるのはワニや大型のヘビ、肉食性の大型鳥類・哺乳類ですが、日本においてはそれらがほとんど存在しないため、天敵と呼べるのは人間だけになります。

カミツキガメと天敵

 

カミツキガメの性格と攻撃性

ワニガメと比べると、大きさや甲羅の物々しさで劣る(?)ため、見た目のインパクトではどうしてもカミツキガメは負けてます。しかし、どちらかというと実際に気をつけなければいけないのはカミツキガメのほうです。

何故かというと、カミツキガメは気性が荒く、非常にその動きが俊敏だからです。特に陸上に上がったときは警戒心が強く、目の前に近づいたものに瞬時に咬みつこうとする習性があり、しかも長い首を伸ばすようにして飛びついてくるのでリーチもあります。距離があるから大丈夫だと思って不用意に近づくと痛い目に遭うことになります。イタズラ心で指を失うなんてことにならないように(苦笑)

ちなみに陸上で警戒心が強いのは、水中ほど自由に身動きが取れないためだと考えられています。カミツキガメは水中では大きな水かきを使ってスイスイ素早く動けるので、危険が迫れば自ら逃げていきます。しかし動きづらい陸上では逃げ切れないと判断し、逆に攻撃的になって威嚇体勢をとるというわけです。

カミツキガメの攻撃性

 

人間からみたカミツキガメの危険性

日本にて野生化してしまったカミツキガメの、人間に対しての危険性についてです。この項についてはワニガメと共通で全く同じことが言えます。

近年ペットとして飼育されていたカミツキガメが捨てられて、野生化していることが問題になっています。大人の指でも簡単に咬みちぎるような危険なカメが近所の池にいるなんて信じられない!なんてヒステリックになってる親御さんなんかもいるでしょう。

しかし結論から言います。普通に生活していればカミツキガメに咬みつかれる可能性はまずありません。

カミツキガメは産卵時以外は、常に水中にいます。しかも綺麗な川ではなく、池や沼のような濁った場所を好みます。つまり、人間のほうからそういった池や沼の中に足を入れなければ、絶対に接触しないわけです。池のそばで遊ぶことはあっても、いまどき濁った水の中に入って遊ぶ人はいないでしょう。

しかもカミツキガメは水中で自分より大きな生き物に遭遇するとまず逃げます。そもそも水中ではほとんど咬みつくことはしないとも言われています。

これらのことをふまえて、人間がカミツキガメに咬みつかれるケースがもしあるとすれば、それは人間のほうからカミツキガメにちょっかいを出したときです。カミツキガメをわざわざ陸上にあげて、面白がって指を差し出したりすれば、びっくりするぐらいのスピードで咬みつかれて見事にその指を失うことでしょう。そんなんはもはや自己責任ですね。

もしカミツキガメを見かけたなら絶対に手を出さず、警察に連絡するようにしてください。長い棒で距離をとってイタズラするのであれば大丈夫だろうと思いがちですが、このカメはに、1メートル程度をすごいスピードで首を伸ばしながらジャンプして飛びかかる力があります。絶対にちょっかいを出してはいけません。

 


↑カミツキガメにちょっかいを出して逆襲されている動画。かなりビックリします。

カミツキガメの生態

 

日本におけるカミツキガメの繁殖

前述したとおり、日本の気候に適応できる、天敵がほとんどいないという特徴によって、日本では本来は存在しなかったはずのカミツキガメの繁殖を許してしまっています。

有名なのは千葉県の印旛沼水系。印旛沼水系ではかなり昔から繁殖を許してしまっていて、毎年何百匹単位に及ぶ数のカミツキガメを捕獲・駆除しています。県がかなり力を入れて対策に乗り出していますが、生活のほとんどを水中で過ごすカミツキガメの完全駆除はさすがに現実として厳しいようです。

 

カミツキガメの飼育

昔はペットとして自由に飼育することができました。しかし手に余るサイズにまで成長してしまったカミツキガメを池などに逃がしてしまう事例が多く、そこで繁殖したカミツキガメが他の生態系を脅かす事態に。そのため2005年に特定外来生物に指定され、その飼育は禁止になりました(それ以前から飼っていた場合のみ必要な手続きを踏めば飼育許可が下りる)。

人気芸人どぶろっくの江口さんがカミツキガメの無許可飼育で書類送検されましたが、これは以前から飼育していて法改正後に飼育許可申請をするのを怠っていたために起きた事件です。

もちろん野生のカミツキガメを捕まえて飼育するのも法律違反です。ちょっと飼育してみようなんて考えは起こさないようにしましょう。

カミツキガメの飼育は許可が必要。新規飼育は認められていない

 

野生のカミツキガメを撮影した動画(アメリカ):

イモガイ

イモガイ

イモガイとは?

イモガイは、イモガイ科の貝類の総称です。日本だけでも約120種類の仲間が確認されています。

基本的にはサンゴ礁などがある温かい熱帯・亜熱帯の海に住んでいて、日本では沖縄・鹿児島、暖流が通る高知県・和歌山県・千葉県などで観察することができます。浅瀬から深海までその生息範囲は広く、海岸線の岩場などでもその姿を見かけることがあります。

イモガイ

 

イモガイの身体的特徴

イモガイは、大きさが大体10~20cm前後です。貝殻の形は分銅を横にしたような円錐型の形状で、螺塔があまりありません。これがサトイモの形にも見えるところからイモガイという呼称がきているようです。

貝殻の模様は種類や個体によって様々で、中には非常に鮮やかなものも多いのでコレクターには人気があったりします。

イモガイの貝殻は様々な模様をしている
↑イモガイの貝殻。綺麗な模様のものが多く、古代では腕輪などの装飾品に加工されていたことも。

 

吻は自分の体長と同じぐらいの長さまで伸ばすことができ、これによりかなり広角度に周囲の様子を探ることが可能です。

移動速度は極めて遅く、カタツムリが地面を這うようにゆっくりとしか進むことができません。そのため普段は岩場に隠れたり、砂の中に潜ったりして、獲物を待ち伏せする狩りのスタイルをとっています。口の中には吻があり、その先端には毒を含んだ銛のような武器を持っています。イモガイはこれを獲物に向けて突き刺し、毒を送り込んだ上で獲物を引き寄せます。そして大きな口で丸呑みにしてしまうわけです。

 

イモガイの生活と繁殖

基本的にイモガイは夜行性です。活動が活発になるのは暗くなった夜の時間帯。

イモガイは岩場に卵嚢を複数産みつけます。これは長い日数をかけて行われ、2週間で100近い卵嚢を産みつけるときもあるようです。この卵嚢には数千単位の卵が格納されており、これらはほかの貝類と同じくトロコフォア幼生期、ベリジャー幼生を経て成体へと成長していきます。

イモガイ卵鞘
↑イモガイの卵鞘

 

イモガイの食事と天敵

イモガイは種類によって食性に差があります。大きくはゴカイなどを食べる虫食性、貝類を食べる貝食性、魚を狙う魚食性の3つに分類されます。ここで危険なのは魚食性のイモガイです。以下このページでは魚食性のイモガイについて解説していきます。

捕食方法は前述したとおり。獲物を岩陰や土の下に隠れて待ち伏せし、不意を突いて毒針で攻撃して一気に丸呑みしてしまいます。自分と同じぐらいの大きさの魚でさえも丸呑みにしてしまうから驚き。口を大きく広げて獲物を取り込むかのように体内に運び入れていく様子には鳥肌が立ちます。

おぞましい狩りの方法を持っている生き物なので、一見して敵はいなそうですが、
実際にはカニなどの甲殻類がイモガイの天敵となります。
カニの甲羅に対してはさすがの毒針も無力なようで。
成す術もなく食べられてしまいます。

イモガイの顔アップ(左)、土の中に潜って獲物を待ち構えるイモガイ(右)
↑イモガイの顔アップ(左)、土の中に潜って獲物を待ち構えるイモガイ(右)

 

イモガイの人間に対しての危険性

イモガイの銛に含まれる毒は神経毒で、とてつもなく強力です。刺された魚や貝類はその毒で即死するぐらいです。

これは人間にとっても驚異的なもので、国内に生息するイモガイの中で一番毒性が強いといわれるアンボイナの場合は、その体内に人間30人を死に至らしめる量の毒を保持していると言われています。とんでもない貝ですね(汗)

実際にイモガイに刺される事故は報告されているだけで30件程度。そのうち8人が命を落としています(うち7人は未成年)。ただし、これはあくまで報告されている数字であって、サンゴ礁近辺で溺れ死んだ水難事故の中には、イモガイが原因のものが多く含まれていると考えられています。

沖縄ではイモガイのことを 『ハマナカー(刺されると浜半ばで死んでしまう)』と呼びますが、こんな呼び方が定着したということは、昔からそれ相応の犠牲者がいたということを表しているといえるでしょう。

イモガイの毒銛
↑イモガイの中でも危険性が高いアンボイナガイ(左)、イモガイの毒銛(右)

 

イモガイに刺されないために

危険な毒貝としての知名度が低かったイモガイですが、近年では危険な生き物を紹介するTV番組で取り上げられることも多く、見る者にインパクトを与える捕食方法が話題になってSNSで情報が拡散されることも増えました。幸いにも一昔前に比べて知名度は格段に高くなっています。

『岩場で遊ぶ際には危険な生き物がいる』 という情報共有がまず大事な一歩。特に子供のほうが致死率が高いので小さなお子さんを持つ家庭では特に注意するようにしましょう。

イモガイは本来、日本でも南のほうの暖かい海に生息する生き物ですが、近年の温暖化で熱帯の生き物はどんどん生息地を広げています。最近では天草のあたりでも存在が確認されてニュースになりました。いずれは日本のほとんどの沿岸でイモガイを見かけることになるのではないでしょうか。

とにかくこの形状の貝を見たら、不用意に触らないことです。イモガイは自分から動くことはほとんどなく、動いたとしても非常に緩慢です。こちらからちょっかいをかけなければ襲い掛かられることもありません。貝殻の模様が綺麗であることから何も知らずに触って攻撃されるケースが事故のほとんどです。

また、イモガイは危険を感じると身を貝殻の奥のほうまで引っ込めて隠れることもあります。中身のない死貝だと思って油断すると危険です。

気をつけたいのは、浅瀬で気付かずに踏んずけてしまうパターン。遊泳場になっているような砂浜にはまずイモガイはいないので気にする必要はありませんが、岩場に立ち入るときは靴やサンダルなどを履くようにしましょう。

また、よく似た形状の貝でマガキガイという食用の貝がいます。潮干狩りなどでこれと間違えてイモガイを触ってしまい事故に遭うケースも確認されています。一応マガキガイは貝殻の外側に特徴的な切れ込みがあるので判断はできるのですが、判断に自信がない場合はこの形状の貝には触らないほうが賢明です。

イモガイの捕食
↑魚を丸呑みにする途中(左)、完全に魚を体内に取り込んでしまった後(右)

 

イモガイに刺されてしまったら

毒銛には返しもついているので痛そうなイメージがありますが、実際には刺された直後は、蚊に刺された程度の痛みしかなく自覚がないことが多いようです。そして知らない間に深刻なレベルまで毒が回ってしまいます。

症状としては、徐々に刺された箇所の痛みが増していき、激痛レベルに。そして腫れが大きくなり、全身の痺れ、めまい、嘔吐、発熱が認められて、症状が重い場合には全身麻痺が起き、呼吸不全により命を落とすことも。

刺された、もしくは刺された疑いがあるときはすぐに陸に上がってください。そのまま海中にいると溺れてしまう可能性があります。もし刺された箇所が分かるならば、毒を口や吸引器で少しでも吸い出し、その箇所から心臓に近い位置をタオルなどで縛り、安静にしつつ病院に向かってください。

残念ながらイモガイの毒に対しての血清というものはありません。ですので人間の自然治癒力で毒が分解されるのを待つことになります。毒のピークは5~6時間後というので、それが済むまでひたすら耐えることになりますが、幸いイモガイの毒は、心筋や中枢神経には影響がありません。人工呼吸器によって呼吸不全のリスクさえ回避すれば命を落とすことはないそうです。

イモガイの毒と刺されてしまったときの対策

 

魚を毒銛で攻撃して丸呑みにするイモガイの動画:

オオムカデ

オオムカデ

オオムカデとは?

オオムカデとは、オオムカデ目・オオムカデ科に属するムカデ全般のことをいいます。「オオムカデ」という名のムカデがいるわけではありません。

日本でオオムカデ科に属するのは、全国的にはトビズオオムカデ、アカズオオムカデ、アオズオオムカデなどがいて、沖縄限定ではハブオオムカデ、タイワンオオムカデなどがいます。

生息範囲、知名度、数的に考えるとトビズオオムカデが圧倒的に多く、日本でオオムカデといったら、トビズオオムカデのことだと考えて特に差し支えありません。このページでもトビズオオムカデのことをイコール「オオムカデ」として解説しています。

トビズオオムカデは赤足と黄色足がいる

 

オオムカデ(トビズオオムカデ)の身体的特徴

トビズという呼び名は、頭部が鳶色(赤褐色)であることからきています。足は基本的には黄色の場合が多いです。しかしオオムカデは個体によって体色に大きく差があって、鮮やかな朱色の頭を持つものもいれば、毒々しい濃厚な赤色の足を持つものもいたりします。ペットとして飼育する人にとっては、体色はその価値が決まるかなり重要な要素になっているようです。

体長はだいたい8cm~15cm程度。21個の体節から長い足が1対ずつ生えていて、しかも蛇行するように動くために、実際に目にしたときは数字以上の大きさを感じます。

ちなみにオオムカデの足の数は42本。ムカデは漢字では「百足」と書きますが、実際100本ということはなくムカデの種類によって数はまちまちです。ゲジ目では最少で30本、ジムカデ目では最多の346本の種がいます。あと足が多い種ほどその足の長さは短くなる傾向にあります。

オオムカデの足は42本

 

オオムカデの生態

オオムカデは北海道から沖縄まで日本全土に生息していて、活動時期は冬以外。基本的には落ち葉・石・コケの下などの湿った場所に生息しています。

夜行性なので夜になると活発的に移動して、昆虫や小動物を捕まえて食べています。オオムカデはトノサマバッタやゴキブリはもちろん、小型のネズミまでもを捕まえるぐらいに獰猛です。触覚で獲物の体温を感知し、急激に接近しその鋭い牙で攻撃して毒を流し込みます。毒を流し込まれた獲物はその作用によって動くことができなくなり、そのまま鋭いアゴの餌食になります。

冬は樹木の隙間の奥や、土の中などに潜って寒さをしのいで過ごしています。温かい隙間を狙って入り込んでいくので、その結果として人が住む屋内に紛れ込むこともしばしば。かなり狭い隙間にまで入り込むことができるため、古い木造建築の家屋などは簡単に侵入されてしまいます。

オオムカデの捕食。大型の個体であればネズミも食べる

 

オオムカデの生殖方法

オオムカデの生殖行動が活発化するのはだいたい5月から6月の間。この時期にオスとメスが出会って意気投合すると、オスは自分の精子が詰まった精筴という袋を排出します。メスは自分の生殖器でそれを体内に取り込んで保存しておきます。そして産卵の際にその精子を使用して受精卵を作り、卵を産み出すわけです。1度精筴を受け取れば半年ぐらいの間、数回に渡って産卵が行えるというから驚きです。

狭くて湿度のある小さな空間を巣穴とし、一度に50~80個程度の卵を産みます。メスは自分の体で卵を包み込むようにして、地面に触れないようにしたり、舌で舐めてカビや乾燥から守ったりします。このメスの行動がないと卵は無事に孵らないそうです。これは卵が孵っても幼体がある程度成長するまでは続きます。

幼体は2、3ヶ月程度で親離れしてそれぞれ散っていきます。生殖行動が可能になるまでは3年かかると言われており、その間に何度も脱皮を繰り返して成長していきます。ちなみに寿命は7~10年程度です。

オオムカデの子供と卵

 

人間にとってのオオムカデの危険性

前述したとおり、オオムカデはよく人家に侵入してきます。夜行性でしかも狭くて温かいところに潜り込む習性のために、寝ている布団の中に入ってこられるケースもしばしば。ぐっすり寝ていて無抵抗であってもムカデは容赦なく咬みついてきます(涙)

かなり鋭い牙を持っているので咬みつかれると非常に痛く、しかもその毒は強烈です。血球溶解作用を持つ毒で、その成分はスズメバチのものに非常に近いもの。咬まれた箇所は大きく赤く腫れあがって熱を持ち、電流が走るようなピリピリした激しい痛みがあります。この症状が数時間続いて非常に苦しい思いをすることに。筆者も膝を咬まれたことがありますが、精神的にも肉体的にもかなりしんどいです。

いちおうオオムカデの毒で命を落とすことはありませんが、乳幼児が首などを咬まれた場合は重症に至ることもあります。あとごくわずかな確率ではありますが、アナフィラキシーショックの可能性もないわけではありません。(※アナフィラキシーショック・・・毒に対して免疫反応が過剰に働いて重篤な症状を引き起こしてしまうこと)

 

もし咬まれてしまったら

寝ているときに咬まれた場合、もしくは乳幼児がいつの間にか咬まれた場合は、咬んだ相手がムカデだったかどうかもわかりません。まず咬まれた部分を確認してみましょう。

2本の牙によって挟まれるので傷が2箇所ある場合が多いですが、咬まれ方によっては1箇所しかないときもあります。蚊に刺された痕のパワーアップ版みたいな大きな腫れあがり方をして熱を持っています。そして時間の経過とともに毒が反応を起こして、痛みが傷のまわり半径5cmぐらいに広がっていきます。

処置としては、まず咬まれた場所を43℃以上のお湯で温めつつ洗い流して下さい。このとき指を使って傷口から毒が出ていくように押し出します。熱くて大きな痛みを伴うかもしれませんが、ここは我慢してください。オオムカデの毒にはポリペプチドやヒスタミンといった、熱に弱い成分が含まれているので、これらの毒を熱で無効することで後々の苦しみをかなり軽減することができます。

その後はもし常備していれば虫刺され薬を塗ります。キンカン、もしくは抗ヒスタミン剤やステロイド成分の入った塗り薬が効果的です。塗布後はアイスノンなどで冷やして安静にしましょう。

これらの処置を済ませて数時間安静にしていれば症状は治まってくると思いますが、どうしても症状が引かずに苦しみが続く場合は病院へ。特にオオムカデに咬まれるのが初めてでない方はアナフィラキシーショックの可能性もあります。大事をとるに越したことはないでしょう。

オオムカデの毒牙

 

オオムカデに咬まれないために

咬まれた後の処置のことを知っておくことも大切ですが、やはり理想は咬まれないことです。ここではオオムカデに接触しないための心がけをいくつか紹介しておきます。

 

1.オオムカデが好きな環境を知る

オオムカデはじめじめした湿気のある狭い空間が大好きです。家の周りにそういった場所はありませんか?庭の置石、積み重ねられた落ち葉、老木、屋外に雨ざらしになった木材、プランター、放置ゴミなど、人家のまわりにはオオムカデが住処として好むものがいっぱいあります。さらにこういった環境にはオオムカデの餌になる生き物までもが集まってきます。これらを処分したり、整理・整頓・掃除をしたりすることによってオオムカデを人家から遠ざけることができるわけです。

またそういった環境で作業などするときは、不用意に隙間や放置物の下に手を突っ込まないこと。オオムカデは何かに接触されると反射的に咬みついてくる生き物です。必ず厚手の軍手などを装着して、オオムカデの存在を意識しながら作業するようにしましょう。

オオムカデ

 

2.屋内に侵入させない

これが何より一番大事なことでしょう。どんなに普段気をつけていても寝ているときに近寄って来られればアウトです。オオムカデに屋内に侵入させない工夫を考えましょう。

まずは戸締りの徹底から。トイレやお風呂の小窓なんかは常時少しだけ開けておくなんて家庭も多いでしょうが、昼間はともかく夜間の間は閉めるようにしてください。湿気を求めてオオムカデが入ってきてしまいます。その窓が2Fや3Fにあったとしても、オオムカデは垂直な壁を平気で登っていけるので同じことです。

次に屋内と屋外を結ぶ隙間を塞ぎましょう。木造家屋なんかだと、長い生活の内に家屋が劣化して縁の下や天井へ通じるような隙間が出来がちです。あからさまな隙間はオオムカデの侵入経路になってしまうので、壁材やパテなどできっちり塞いでください。

仕上げに防虫剤を使います。ムカデよけの薬としていろんな商品が出回っていますが、自分の経験といろんな方の話、Webでの口コミから判断するに一番効果があると考えられるのはナフタリンです。よくタンスの防虫剤なんかに使われているので、そういった商品をそのまま利用します。玄関、床下、天井裏などの侵入経路として怪しい箇所に配置しましょう。

ただしナフタリンはムカデを追い払うほどの強力なゆえに、人体にも害を及ぼす成分です。滞在時間が長くなる居間や寝室などに過剰に配置することは控えましょう。常識的な量の配置ならば問題はありません。ただし幼児やペットがいる家庭は、誤って口に入れないような配慮は必須です。

ナフタリン

 

3.オオムカデが部屋の中に現れた!倒し方は!?

ムカデ専用のスプレー系殺虫剤を使うのが一番ベターです。使用方法は商品によって違うのでそれぞれ取り扱い説明を熟読しておいてください。

しかしありがちなのは、いざオオムカデが現れたときにスプレーが手元にないパターン。スプレーを取りに行っている間に見失うのが必至ってときには、しょうがない、打撃戦です。スリッパや太い雑誌を丸めたような武器で戦いましょう。

しかし大ムカデはその見かけどおり、硬い鎧で体が覆われていて頑丈です。おそるおそる叩いてみたって程度では、奴ら全くひるみません。「粉々に粉砕してやるッ!」ってテンションで思いっきり全力で叩いてください。それで動きが止まったのを確認したら、ここで大事なのはもう1回思いっきり叩くことです。オオムカデは刺激を受けた際に、死んだように動きを止める場合があります。ここで油断すると突然素早く動き出して一目散に逃げていくので、死んだふりであろうが、本当に死んでいようが、もう一度叩いて確実に息の根を止めましょう。

万が一逃がして見失ってしまった場合、ナフタリンを使いましょう。オオムカデが隠れたと思われる隙間に投入すれば、嫌がって出てくることが多いです。それでも発見することができなかった場合はナフタリンを一時的に部屋中に重点配置します。そうすればオオムカデはその部屋から出ていくか、弱ってそのまま死んでしまいます。

 

野生の子持ちオオムカデの動画: